「多発性骨髄腫」の前兆・初期症状を医師が解説 どのような特徴があると発症を疑うのか

「多発性骨髄腫」の前兆・初期症状を医師が解説 どのような特徴があると発症を疑うのか

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

多発性骨髄腫の概要

多発性骨髄腫は、骨髄にある形質細胞が「がん化」して異常細胞になる血液のがんです。形質細胞は、体内に入ってきた病原菌やウイルスに対する抗体を作る役割がありますが、この病気では異常細胞が大量に産生され、正常な血液細胞の生成を阻害します。代表的な症状として、造血機能の抑制・Mタンパクの増加・骨破壊があり、骨が脆くなって骨折、造血機能の抑制により貧血、腎機能障害などの症状が現れます。

多発性骨髄腫は比較的進行が緩やかで、初期には自覚症状が乏しい場合もあります。進行とともに高カルシウム血症や腎不全、貧血、骨病変などの症状が現れるため、定期的な検査で経過観察が必要です。

多発性骨髄腫の原因

多発性骨髄腫では形質細胞に遺伝子異常や染色体異常が見られますが、明確な原因はまだわかっていません。高齢になるほど発症率が増加しており、人口10万人に対して男性は6.6例、女性は5.5例と発症率は男性の方がやや高いです。発症原因として放射線被ばくの可能性が示唆されています。現時点では遺伝的要因はないと考えられていますが、20〜30%に染色体の異常が報告されています。これらの要因が組み合わさることで、骨髄中の形質細胞が「がん化」して多発性骨髄腫を発症する恐れがあります。

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