多発性骨髄腫の前兆や初期症状について
多発性骨髄腫の初期には自覚できる症状がほとんどなく、血液検査や尿検査で異常が判明する場合があります。進行すると貧血や骨折、骨の痛み、関節痛などがあらわれます。代表的な症状は以下の表の通りです。
原因
症状
赤血球・白血球・血小板の減少
骨髄腫細胞による造血機能の抑制により、息切れ、動悸、倦怠感の症状が現れる。また、正常な抗体を生成できないため、細菌やウイルスに感染しやすくなる
免疫機能低下
免疫が低下し、尿路感染症や肺炎になりやすくなる
腎機能障害
アミロイドーシス
Mタンパクの沈着による腎臓機能低下により、食欲不振・むくみ・尿量低下の症状が現れる。また、アミロイドの沈着によりさまざまな機能障害が現れる。
高カルシウム血症
病的骨折
骨髄腫細胞による破骨細胞の活性化により、カルシウムが血中に溶け出し、口喝・吐き気・嘔吐・食欲不振・倦怠感の症状や腰の骨折脊髄症状が現れる
これらの症状がみられた場合、まずは貧血、骨折、腎不全などについて内科や整形外科で精密検査を行い、その後必要に応じ血液内科を受診することとなります。
多発性骨髄腫の検査・診断
多発性骨髄腫の診断には、血液・尿検査、骨髄検査、画像診断が用いられます。
血液検査
血液検査では、造血機能を調べるために赤血球・ヘモグロビン・白血球・血小板の数値を測定し、造血機能が低下しているとこれらの数値に異常が見られます。また、骨髄腫の進行や腎機能を調べる項目に、免疫グロブリン・Mタンパク・カルシウム・アルブミンなどがあります。骨髄腫が進行するとタンパク質が過剰に産生されるため、血液中のタンパク質濃度が高まり、多発性骨髄腫と判断されるのです。
尿検査
尿検査では、Mタンパク・クレアチニン・尿素窒素の量や腎機能の状態を測定します。通常では尿中にタンパク質が排出されることはありませんが、多発性骨髄腫ではMタンパクが沈着して腎臓の働きに影響するため、尿からタンパク質が検出されます。また、24時間の尿を集めてMタンパクを調べる全尿検査もあり、より正確な検査が可能です。
骨髄検査
骨髄検査では、骨髄穿刺(こつずいせんし)で採取した骨髄を顕微鏡で観察し、がん細胞の種類や悪性度を調べます。腸骨(骨盤の骨)から骨髄液を採取し、造血機能やがん細胞の有無などから治療の選択・効果判定をする検査方法です。検査部位には局所麻酔を行うため、痛みを最小限にし、患者さんの負担を抑えることができます。
画像診断
画像診断では、X線やMRI、CTなどを用いて行われます。X線検査で全身の骨病変や病的骨折の有無を調べ、より細かい病変やがん骨髄腫細胞の範囲を調べるためにCTやMRI検査が有用です。また、骨髄外の病変に対しては、PET検査(陽電子放出断層撮影法)を実施します。
配信: Medical DOC