「多発性骨髄腫」の前兆・初期症状を医師が解説 どのような特徴があると発症を疑うのか

「多発性骨髄腫」の前兆・初期症状を医師が解説 どのような特徴があると発症を疑うのか

多発性骨髄腫の治療

多発性骨髄腫は難治性の血液がんであり、完治より病状をコントロールすることが目標になります。進行は比較的緩やかで、無症候性多発性骨髄腫のように症状がない場合は、経過観察でフォローしていきます。症状が現れた際に抗がん剤による薬物療法や放射線療法、手術療法を併用していきます。

薬物療法

薬物療法は、がん細胞の増殖を抑え、再発や転移を防ぐ効果があります。薬物療法には化学療法やホルモン療法、分子標的療法などがあり、薬物の種類によってがん細胞に作用する手段が異なります。

放射線療法

放射線療法は、がん細胞に対して放射線を照射し治療を行います。骨髄腫細胞は正常細胞と比べて放射線の感受性が高く、腫瘍の縮小や疼痛緩和の目的で実施します。放射線の照射によって正常細胞も影響を受けますが、がん細胞ほどはダメージを受けません。放射線治療の時間は症状の程度によって変わってきますが、10〜30分が一般的です。ほとんどの方は通院して治療を受けられるため、仕事や趣味など日常生活を継続できるでしょう。

手術療法

手術療法とは、腫瘍ができた箇所や転移が疑われる箇所を切除する治療法です。がん細胞は周囲の組織に広がる浸潤性のものもあり、がん細胞を取り除くため、大きめに臓器を切除します。手術によって正常な臓器の機能を失いかねない場合、再建手術によって臓器の機能回復を目指します。

造血幹細胞移植

造血幹細胞移植は、抗がん剤や放射線治療の効果が出やすいがんに対して行われる治療です。治療から経過観察の流れは以下のようになります。

移植前処置(移植の約1週間前)
大量化学療法、全身放射線治療などの治療

輸注(移植当日)
造血幹細胞が含まれる細胞液を点滴で注入(輸注)

生着(移植後約10日〜2週間後)
白血球(好中球)数が増え始め、3日続けて500/μL以上

退院(移植後約1〜3ヶ月後)
再発や移植片対宿主病(GVHD)などの合併症に注意しながら定期的に通院

経過観察
QOL(生活の質)を重視し、貧血や痛み、精神的な負担の緩和を治療

移植前の処置は、移植の当日約1週間前から実施されます。目的としては、がん細胞の働きを抑え込み腫瘍の縮小をすること、患者本人の免疫作用を抑制し造血幹細胞の拒絶反応を予防することです。この時期には、通常の数倍量の薬剤を投与する「大量化学療法」と患者さんの年齢や体の状態によって照射量を調整する「全身放射線治療」を併用します。

多発性骨髄腫になりやすい人・予防の方法

多発性骨髄腫の明確な原因はわかっていませんが、いくつかのリスク要因を紹介します。

多発性骨髄腫になりやすい人

まず、高齢者は多発性骨髄腫の発症リスクが高く、平均年齢66歳の高齢者に多く見られます。これは高齢化が影響していると言われていますが、稀に30〜40代の若い方も発病することがあります。

予防方法

多発性骨髄腫の効果的な予防法は分かっていません。ですが、定期的に健康診断を受け、早期に異常を発見することでスムーズに治療が開始できます。もし、検査で異常が見つかった場合は、放置せず精密検査を受けましょう。

関連する病気腎不全

参考文献

国立がん研究センター

横浜市立大学附属病院

みんなの医療ガイド

多発性骨髄腫のしおり

多発性骨髄腫と放射線被ばくとの因果関係について

多発性骨髄腫について

多発性骨髄腫の診断と治療指針

多発性骨髄腫の病態と治療の進歩

国立がん研究所センターがん情報サービス

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