心房中隔欠損症の前兆や初期症状について
心房中隔欠損症の多くは、子どもの頃は無症状で経過することがほとんどです。
病気に気づかずに大人になり成人期・中年期にさしかかると、しだいに自覚症状が現れます。症状は動悸や息切れ、疲れやすさなどです。
また穴の大きさによって、症状の程度や出る時期が異なります。
穴が小さいと穴を通る血液の量は少ないため、肺への血液量は増えず、症状はほどんどありません。
穴が大きければ穴を通る血液の量が増えるため、肺への血液量も増えて肺への負担が大きくなります。そのため子どもの頃から息切れや疲れやすさなどの症状が出ることもあります。
病状が進むと下記のような合併症が出現することがあります。
心房中核欠損症の合併症
心不全
心臓は肺と全身に血液を送り出すポンプのはたらきがあります。通常血液は、左心室→全身→右心房→右心室→肺→左心房→左心室の順に流れています。
心房中核欠損症がある場合、左心房が右心房より圧が高いため、心房中隔の穴を通って左心房から右心房、右心室へ流れる通常とは異なる血液の流れが生じます。これに対応するために右心房と右心室の部屋が大きくなり、大きくなった心臓は風船のゴムが伸びきったような状態となります。そしてポンプのはたらきが弱くなり心不全を起こします。
不整脈(脈の乱れ)
心臓が大きくなり心臓の壁の筋肉が伸びきると、心臓の電気信号の伝達に異常がおき、心房細動や心房粗動などの不整脈が出現します。
心臓の弁の病気
心臓の4つの部屋には、それぞれドアのようにはたらく「弁」があります。心房から心室に流れた血液が、逆流しないようにする弁が三尖弁と僧帽弁、心室から動脈に流れた血液が逆流しないようにする弁が肺動脈弁と大動脈弁です。
心房中隔欠損症では通常の血液の流れと異なる流れが生じます。正常に弁が閉じなくなることで逆流を起こしてしまう心臓弁膜症を引き起こすことがあります。
肺高血圧症
心房中隔欠損症では、左心房から右心房・右心室へ血液が流れるため、肺に流れる血液量が増えます。重症になると心臓から肺へ血液を送る肺動脈の圧が高くなる、肺高血圧症と呼ばれる病気になります。
心房中隔欠損症の検査・診断
聴診所見、心電図、胸部X線検査などで異常がみつかった場合、心疾患が疑われます。
さらに循環器を専門にする病院で、心臓超音波検査(心エコー)を受ければ確定診断がつきます。治療の適応に迷う場合や合併症が疑われる場合には、心臓カテーテル検査もおこないます。
心電図
洞調律とよばれる正常な波形であることが多いですが、中年以降は心房細動などの不整脈がみられる場合があります。
胸部X腺検査
右心房、右心室を流れる血液量が増えるため、右心室の拡大がみられます。
心臓超音波検査(心エコー)
穴の大きさや形、位置などを正確に確認します。また右心房・右心室の肥大や弁の異常などもくわしく観察することができます。
心臓カテーテル検査
40歳を超えると、心臓の筋肉に酸素や栄養を運ぶ冠動脈と呼ばれる血管が狭くなっている可能性があるため、心臓カテーテル検査をおこないます。心臓や血管の形や血液の流れなど、心臓の状態をくわしくみることができます。
配信: Medical DOC