寒冷凝集素症の前兆や初期症状について
寒冷凝集素症では、赤血球の凝集(赤血球同士がくっつくこと)と破壊によって貧血症状と末梢循環障害の症状が生じます。
具体的には、寒さにさらされると、赤血球の凝集で血液の流れが滞るために、手足の先や耳の先端などの皮膚が青紫色に変色したり、冷たく感じたりします。
また、同様の理由から全身に酸素が行きわたらず、体が疲れやすくなったり、軽い運動でも倦怠感(だるさ)を感じやすくなります。また、末端の部位では、痛みやしびれがあらわれることもあります。これらの症状は、冷水で手を洗う、冷水を飲むといったことでも生じるのが特徴です。
寒冷凝集素症の症状は、寒さを避け、温めることで落ち着きます。反対に、長時間寒さにさらされると症状が強くなり、痛みやしびれが続くこともあります。
寒冷凝集素症の検査・診断
寒冷凝集素症は、自己免疫性溶血性貧血の診断基準に基づいて診断が下されます。診断基準を満たすかどうかを調べるために、血液検査や寒冷凝集素試験を中心とした検査を行います。
血液検査
血液検査では、赤血球の数や形態、血液の流れが正常に流れているかを調べます。
体が冷えた状態で血液検査を行うと、赤血球がくっついた状態を調べることになるため、赤血球の数値など、一部の数値に影響が出ます。そのため、体を温めてから検査を行う場合があります。
寒冷凝集素試験
採取した血液を冷やし、低温下で赤血球が凝集するかを確認します。寒冷凝集素症の場合は、寒冷凝集素が周りの赤血球に反応して凝集が起こるため、この反応が出るかどうかを確認します。寒冷凝集素試験は、寒冷凝集素症の診断に欠かせない検査です。
直接クームス試験
直接クームス試験では、血液中に自分の正常な細胞や組織を攻撃する抗体が存在するかどうかを確認します。寒冷凝集素症の場合、寒冷凝集素が赤血球に付着していることが確認され、直接クームス試験では陽性反応が出ます。
画像検査
血液検査や寒冷凝集素試験で寒冷凝集素症が疑われ、レントゲンやCTで肺炎が確認された場合は、マイコプラズマ肺炎による二次性寒冷凝集素症(寒冷凝集素症候群)である可能性が高いと判断されます。その場合、治療方針が大きく異なってきます。
配信: Medical DOC