くも膜下出血を発症すると首が痛くなる原因
脳動脈瘤が破裂すると、脳を覆っている硬膜、くも膜、軟膜といった3層の膜構造のうち、くも膜下と呼ばれるスペースに出血が一気に広がっていきます。血液が広がると脳の中の圧力が急激に高まり、さらに一番外側で脳を覆っている硬膜という膜にまで強い圧力がかかった結果、広範な頭痛が生じます。
くも膜下出血はその性質から、非常に緊急性の高い疾患といえます。なぜなら破裂した脳動脈瘤の壁は非常に薄くなっているため、仮にいったん破れたところからの出血が止まっていたとしても、再び破れて出血してしまう危険性が高いのです。
再出血をきたすと致死率が劇的に跳ね上がってしまうため、緊急手術(開頭脳動脈瘤頸部クリッピング術や脳動脈瘤コイル塞栓術)で止血処置を行う必要があります。この緊急手術を行うことができる診療科が、脳神経外科です。
従って、突然の、今まで経験したことのないような強い頭痛を自覚した場合は、直ちに脳神経外科への受診を試みましょう。
くも膜下出血の前兆となる初期症状
ここまで、くも膜下出血の症状は「突然の」「いままで経験したことのないような」強い頭痛であると表現してきました。
しかし、ときどき動脈瘤が破裂しかかっている状態、またはほんの少しだけ出血した状態、の場合にみられる前兆症状(切迫破裂や警告頭痛といいます)もあるのです。
具体的には、本格的な破裂が起きる数日前からの突然の軽~中等度の首後ろの頭痛や肩凝りといった症状で、吐き気やめまいを伴う場合もあります。また、破裂の直前に動脈瘤が急激に大きくなる場合があり、動脈瘤の位置によっては急増大したことで周辺にある神経を押さえつけて、急に片方の瞼が下がってきたり、視力が低下したり、物が二重に見えて目の動きがおかしくなったり、といった症状を認める場合があります。
これらの症状は動脈瘤が切迫破裂の状態にあるときに見られます。前兆症状が見られた場合、数日~数週以内に動脈瘤の大きな破裂が生じてしまう可能性があるため、躊躇せず早期に脳神経外科を受診するようにしましょう。これらの状態にある場合は極めて危険なので、血圧を激しく上下させてしまうようなことや喫煙などの血管に影響を与えてしまうようなことは避けるようにしましょう。
配信: Medical DOC