耳介血腫の治療
耳介血腫の治療は主に、穿刺(せんし)や切開による血液の排出が行われます。
血腫が自然に吸収されることはほとんどなく、放置すると血腫が固まり耳の軟骨が変形する可能性が高まります。
穿刺による排液
耳介血腫が初期の場合には「穿刺」が行われます。穿刺は、局所麻酔下で血腫のある箇所に針を刺し、内部にたまった血液を排出する治療法です。
穿刺による血液の排出は再発することが多いため、数回の処置が必要な場合も少なくありません。また、耳介血腫が生じてからすでに長時間経過している場合は穿刺による排液はできず、切開が必要になります。
切開と縫合
すでに耳介血腫が生じてから長時間経過している場合や、血腫が大きかったり繰り返し再発したりする場合は、切開して血液を排出した後、耳の皮膚と軟骨を縫合する治療が行われます。
血腫部位を圧迫して止血するうえ、軟骨と皮膚をしっかりと接着するため再発のリスクが低くなります。耳介血腫による変形を防ぐことはできますが、手術の跡が耳に残るデメリットがあります。
穿刺や切開後のケア
穿刺や切開を受けた後は、再び血液がたまることを防ぐために耳の圧迫固定をしばらく継続する必要があります。
また、術後の通院も欠かさず行い、経過観察を続けることで、再発や感染症のリスクを最小限におさえることができます。
耳介血腫になりやすい人・予防の方法
耳介血腫は、コンタクトスポーツを行う機会が多い人に発生しやすい症状です。具体的には、レスリングやラグビーなど、耳に直接的な衝撃が頻繁に加わりやすいスポーツで耳介血腫のリスクが高まります。先述したように、ピアスを開けている人も耳介血腫を生じる場合があります。
予防策として、コンタクトスポーツなどの頭や耳の外傷を起こす可能性のある活動を行う際には、耳を保護するヘッドギアやイヤーパッドの着用が推奨されています。
これらを装着することで耳の外傷や圧迫を防げるため、耳介血腫の予防につながります。
また、もし耳介血腫が生じてしまった場合は、迅速に耳鼻咽喉科や形成外科などの医療機関を受診して血液を排出することも予防の一環となります。
鼓膜損傷
耳介軟骨膜炎
軟骨壊死
耳下腺炎
耳管狭窄症
耳管開放症
参考文献
愛媛県耳鼻咽喉科医会「耳介血腫- 血液なんども抜いて 硬くなると形成手術必要-」
National Library of Medicine「Auricular Hematoma」
配信: Medical DOC
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