短腸症候群の治療
短腸症候群の治療は主に時期に応じた栄養療法がおこなわれますが、薬物療法や手術療法が適応されることもあります。
治療法は患者の年齢や残っている小腸の状態、原因疾患などによっても異なります。
医師や管理栄養士、薬剤師などの多職種がチームを組み、「腸管リハビリテーション」として、患者に合わせた治療やサポートをしていきます。
栄養療法
栄養療法は、主に消化管を介さない「中心静脈栄養」と、消化管を介する「経腸栄養」によっておこなわれます。
中心静脈栄養ではブドウ糖や電解質、アミノ酸、脂質などの輸液を、心臓近くにある上大静脈から投与します。
経腸栄養では、天然の食材を配合もしくは合成した流動食を口や鼻、胃から投与します。
主に術後1ヶ月以内にあたる術直後期では中心静脈栄養が基本になります。
術後数ヶ月〜12ヶ月にあたる回復適応期では経腸栄養が開始され、中心静脈栄養の投与量を徐々に減らしていきます。
回復適応期から数年経った安定期では、経腸栄養や通常の経口摂取の頻度を増やしながら徐々に中心静脈栄養の離脱を目指します。
中心静脈栄養の離脱が難しいケースでは、在宅静脈栄養に移行して自宅で継続します。
薬物療法
薬物療法ではホルモン剤を投与することによって小腸の腸管順応を促します。
対象療法として、胃酸の分泌や下痢を抑える薬物が使用されることもあります。
手術療法
中心静脈栄養から離脱する見込みがないケースでは、腸管延長術が適応されることがあります。
肝機能障害などにより中心静脈栄養の継続が難しい状態では、小腸移植術が検討されます。
短腸症候群になりやすい人・予防の方法
短腸症候群の原因になる疾患は先天性のものや、原因不明のものが多いことから、なりやすい人の特徴や予防の方法はありません。
短腸症候群になった場合は、症状を悪化させないために、医師や管理栄養士による食事内容の指示を守りましょう。
経口摂取が可能となった場合も、炭水化物が多めで脂肪が少ない食事を摂ることが望ましいです。
砂糖が多く含まれているお菓子やジュース、食物繊維の多いきのこやナッツ、シュウ酸なども、消化不良によって下痢が起こりやすくなるため避けましょう。
結腸が残っている場合は、ブロッコリーやバナナなどのシュウ酸が多く含まれる食べ物も、尿路結石の原因になるため、できるだけ控えてください。
関連する病気
先天性小腸閉鎖症
中腸軸捻転
ヒルシュスプルング病
腹壁破裂
壊死性腸炎
上腸間膜動脈塞栓症
絞扼性イレウス
放射線腸炎
腹部腫瘍
参考文献
公益社団法人日本小児学会疾患名:腸管不全(Hirschsprung 病類縁疾患、短腸症候群)
公益社団法人日本小児学会短腸症候群
小児慢性特定疾病情報センター37短腸症
学会誌JSPEN成人短腸症候群の食事療法
配信: Medical DOC
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