徐脈頻脈症候群の前兆や初期症状について
徐脈頻脈症候群の初期段階では、無症状で経過することもありますが、心拍数の急激な変動により、動悸や息切れ、疲労感などの症状が現れます。
徐脈や洞停止が続くとめまいや失神を引き起こす危険性も高いです。
突然の発作性の症状として現れることが多く、患者の生活や生命に支障をきたすことも少なくありません。
脳塞栓や肺塞栓、深部静脈血栓症の発症によって徐脈頻脈症候群が判明する場合もあります。
動悸 ・息切れ
徐脈から頻脈への移行時に、患者は動悸を感じやすくなります。
特に心拍数が急激に上昇する際に発生しやすく、運動やストレス時に顕著に現れます。
心拍数の変動によって心臓のポンプ機能が不安定になり、少し体を動かしただけでも息切れが生じます。
疲労感
徐脈や頻脈の影響で全身の血流が不安定になると、日常生活において疲れやすくなります。
活動後の体の回復が遅く感じることもあります。
めまい・失神
徐脈によって心拍出量が低下すると、脳への血流が不足し、めまいや失神を引き起こすことがあります。
立ち上がったときや急な体位変換時にこれらの症状が現れやすくなります。
失神する前に感じる「眼前暗黒感」や「ふらつき」などの前兆もあります。
めまいや失神は死亡につながる事故や突然死につながる危険性も高いです。
塞栓症
徐脈や頻脈を繰り返すことで血管内の血液が停滞し、血が固まりやすくなるため、身体のあらゆる場所で塞栓症を引き起こす可能性があります。
脳梗塞によってしゃべりにくさや身体の麻痺、肺塞栓によって急激な息苦しさ、下肢の深部静脈血栓症によって下肢の浮腫や痛みなどの症状が発生します。
徐脈頻脈症候群の検査・診断
徐脈頻脈症候群の診断は、主に心電図(ECG)を使用します。
ただし、症状がない時に通常の心電図検査では異常が見つからない可能性もあります。
心電図検査で異常が見つからない場合は、ホルター心電図、植込み型ループレコーダ(ILR)、心エコー、電気生理学的検査など追加の検査が必要です。
心電図(ECG)検査
心電図は、徐脈頻脈症候群の診断において重要な検査です。
12誘導心電図を用いて、心拍数の変動や不整脈の種類を特定します。
他の洞不全症候群では洞性徐脈(心拍数が50拍/分以下で持続する状態)、洞停止(正常な心拍が突然停止する状態)が見られます。
徐脈頻脈症候群では、頻脈の後に徐脈が見られるのが特徴的です。
ホルター心電図(24時間心電図)
ホルター心電図では、24時間以上にわたり心電図を記録することで、日常生活中の心拍数の変動を評価し、一時的な徐脈や頻脈の波形を記録することが可能です。
徐脈頻脈症候群で発生する発作的な症状を記録できます。
植込み型ループレコーダ(ILR)
植込み型ループレコーダ(ILR)は心臓のリズムを長期間にわたって監視するために使用する6×2cm程度の小型デバイスで、胸部の皮下に埋め込まれます。
徐脈頻脈症候群に発症しやすい2~3秒の洞停止は就寝時に認められる可能性が高く、日中の心電図では記録されにくいため、長時間の心電図記録が必要です。
特に繰り返す失神症状がある患者では失神の原因の特定にILRが有用になります。
エコー心臓検査(心エコー)
心エコー検査を通じて、心臓の構造を評価し、心筋の状態や弁膜症など他の疾患との関連性を調べます。
心臓のポンプ機能や血液の流れを確認し、心不全のリスクを把握するのに役立ちます。
電気生理学的検査(EPS)
電気生理学的検査(EPS)はカテーテルを用いて心臓内の電気信号を直接記録し、洞結節の機能や伝導障害を詳細に評価する方法です。
心電図で明確な診断が得られない場合や、症状と心電図との因果関係が不明な場合に使用されます。
配信: Medical DOC