「健康診断の費用」はどれくらいかかるの?保険適用や会社負担等も医師が解説!

「健康診断の費用」はどれくらいかかるの?保険適用や会社負担等も医師が解説!

健康診断の費用はいくら?Medical DOC監修医が健診の保険適応の有無や会社員・自営業・後期高齢者が受診した場合の相場などを解説します。

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監修医師:
木村 香菜(医師)

名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

健康診断(一般健診・特定健診)の費用はいくらかかるの?

健康診断を受ける際、費用がかかるかどうか、またどれくらいの金額になるのか、気になる方も多いでしょう。
この記事では、健康診断の費用や保険適応の有無、従業員・自営業・後期高齢者が健康診断を受ける際の費用の相場などについて詳しく解説します。さらに、再検査や精密検査の費用がいくらなのかについてもご紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。

健康診断の費用

それでは、健康診断の費用について解説します。

会社員やパートが会社から義務付けられている健康診断の費用の目安・保険適用

会社員やパートは、労働安全衛生法に基づき、年に一度の定期健康診断が義務付けられています。この定期健康診断は、労働者の健康状態を把握し、職場における健康管理を変更しています。健康診断の内容は、一般的な健康診断と特定健康診査(メタボ健診)があり、それぞれの対象者や内容が異なります。

なお、健康診断は病気を治療することを目的とはしていません。そのため、原則的には健康保険の適用とはなりません。

定期健康診断は、労働安全衛生法に基づいて、常時使用する労働者に対して行われます。
定期健康診断の項目としては、以下のようなものがあります。

既往歴及び業務歴の調査

自覚症状及び他覚症状の有無の検査

身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査

胸部エックス線検査及び喀痰検査※

血圧の測定

貧血検査(血色素量、赤血球数)

肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)

血中脂質検査(LDL・HDLコレステロール、TG)

血糖検査

尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)

心電図検査

※雇入時健康診断では、胸部エックス線検査のみとなっています。
さらに、危険物を扱う職業の方では、特殊健康診断も受けていただくことになります。

また、年度実施中に40-75歳に達する方に対しては、特定健康診査(いわゆる、特定健診)が行われます。こちらについては、以下のような健診項目があります。

問診(服薬歴、喫煙歴など)

身体計測(身長、体重、BMI、腹囲)

理学的検査(身体診察)

血液測定

血液検査:脂質検査や血糖検査、肝機能検査が含まれます

検尿検査:尿糖、尿蛋白

心電図検査

眼底検査

貧血検査(赤血球数、血色素量、ヘマトクリット量)

※ なお、1~6までは基本的な項目となります。
一方で、7~9については、一定の基準のもとで、医師が必要と定めた場合に行われるものです。

特定健康検査は、会社員などに勤めている方は勤め先の加入している会社の健康保険組合や、全国健康保険協会(協会けんぽ)といった医療保険者からのお知らせが届きます。後述しますが、自営業の方に対しては市町村からの案内が届きます。
定期健康診断にかかる費用は、基本的には会社が全額負担します。したがって、会社員やパートの方の自己負担はありません。
ただし、会社が負担しないオプション検査を追加する場合や、個人的に追加検査を希望する場合は、自己負担となることがあります。

なお、協会けんぽに加入している方においては、生活習慣病予防健診を受けることになります。こちらについては、一人当たり1年度につき1回限り、協会けんぽが健康診断の費用の一部を負担してくれることとなっています。これは、各都道府県によって異なります。
生活習慣病予防健診の自己負担額は、令和6年度の場合、一般健診に乳がん検診などのオプションをつけても、高くても約8,000円となっています。
特定健康診断の場合には、定期健康診断と重複する項目については会社などが負担してくれることになっています。別途追加した検査については、追加費用が発生する場合があるので、詳しくは受けようとする健診機関に問い合わせるようにしましょう。

自営業など個人で受診した健康診断の費用の目安・保険適用

自営業やフリーランスの方は、国民健康保険制度の対象となります。
国民健康保険制度は、被用者保険や後期高齢者医療制度に加入していない方を対象とした医療保険制度です。これには、市町村の国保と、業種ごとに作られている国民健康保険組合があります。

自営業などの方が個人で健康診断を受ける方法として、以下のようなものがあります。

・国民健康保険組合が実施する健康診断を受ける
平成20年度から、健康保険組合などに対して、40-74歳の被保険者やその扶養者を対象に、健康診断と保健指導の実施が義務化されています。先ほどもご説明した、特定健診に該当します。そのため、国民健康保険組合の加入者の方で、40-74歳の方は、特定健診を受けることが可能です。項目については、先述した項目と同様です。
業種の保険組合によって詳細は異なりますが、費用についても各健康保険組合が負担してくれる場合もあります。

・地方自治体の健康診断を受診する
地方自治体である市町村が実施主体となる健康診断は、健康増進法に基づいています。
国民健康保険に加入している方が対象になります。
歯科疾患健診、骨粗鬆症検診、肝炎ウイルス検診、がん検診などがあります。
また、高齢者医療確保法に基づく特定健診の非対象者に対する健康診査や保健指導も行われます。これらは努力義務のため、自治体によっては行っていないこともあります。
健診費用は自治体によって異なりますが、無料で受けられることもあります。また、加入している国民健康保険組合が一部費用を負担してくれる場合もあります。

・医療機関で健康診断を受診する
医療機関で、個人的に健康診断を受ける場合には、先ほどご説明したような健康診断や、さらにがん検診などをオプションでつけた人間ドックを受けることになります。

医療機関で受ける健康診断の費用は、検査内容や施設によって異なります。特定検診を受けるような場合や、一般的な定期健康診断を受ける場合には10,000円から20,000円程度が相場と考えられます。一方、人間ドックを受け、詳細な検査やオプションを追加する場合、費用はさらに高くなることがあります。中には、一泊して人間ドックを受けてもらう、二日ドックのようなプランを用意している医療機関もあり、その際にはより高い料金がかかる場合もあります。

後期高齢者が受診した健康診断の費用の目安・保険適用

75歳以上の方は後期高齢者となり、高齢者医療確保法による健康診断を受けることができます。
既往歴の調査、自覚症状及び他覚症状の有無の検査、身長・体重検査、BMI測定、血圧測定、血糖検査、中性脂肪、コレステロール量の検査等があります。
後期高齢者が受ける健康診断の費用は、市区町村によって異なりますが、基本的には自己負担が少なく抑えられています。自己負担額は、数百円から1,000円程度です。
無料の場合もあり、特定の条件を満たす場合や年に一度の定期健康診査については無料で受けられることもあります。

再検査・要精密検査を受診した場合の費用の目安・保険適用

健康診断の結果、再検査や精密検査が必要と判断された場合、これらの検査は通常の健康診断よりも詳細で専門的な内容になります。再検査や精密検査は、異常値が見つかった場合や、特定の疾患のリスクが疑われる場合に実施されます。

再検査や精密検査の費用は、検査の内容や施設によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

再検査:数千円程度(例:追加の血液検査や尿検査など)

精密検査:数千円から数万円程度(例:CTスキャン、MRI、内視鏡検査など)

再検査や精密検査にかかる費用は、健康保険が適用されます。自己負担額は通常、総費用の3割程度です。具体的な費用例は以下の通りです。

血液検査:追加の血液検査は1,000円から3,000円程度

尿検査:追加の尿検査は1,000円前後

CTスキャン:10,000円から20,000円程度

MRI:20,000円から30,000円程度

内視鏡検査:20,000円から50,000円程度

具体的な診療報酬点数の例を以下に示します。

CTスキャン:560点から2,300点

MRI:900点から1,620点

内視鏡検査:1,000点から2,000点

診療報酬点数は、検査の種類や実施内容によって異なります。また、施設ごとに点数が異なる場合があるため、詳細は各医療機関に確認することが重要です。

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