「認知症が急激に進む原因」はご存知ですか?医師が徹底解説!

「認知症が急激に進む原因」はご存知ですか?医師が徹底解説!

認知症が急激に進む原因

アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症などでは、一般に年単位でゆるやかに症状が進行します。
しかし、生活環境の変化や強いストレス、ビタミン欠乏など、その他の要因による認知機能の低下が加わった場合には認知機能が急激に低下することがあります。ここでは認知機能が急激に低下する要因についてご紹介します。

生活環境の変化

施設への入所や病院への入院など、生活環境が変化した場合に認知機能が急激に悪化することがあります。新たな生活環境に順応できないことによるせん妄や適応障害、うつ病、行動が制限されることによる自信の喪失など、さまざまな要因が関与します。

行動する機会の減少、楽しみの喪失

退職などによってやりたいこと、やるべきことが失われ、外出機会や社会的な交流が少なくなることで認知症が一気に進んでしまうことがあります。
新しい刺激が減ることや、自身の役割を失うこと、楽しみがなくなることで活動意欲が低下することは、認知機能低下の要因になると考えられます。

考える機会の減少

人と交流する機会が減少したり、介護を受けるようになったりすることで、自分で考える機会が減ってしまい、認知症が一気に進んでしまうことがあります。
認知機能も筋肉と同じく、普段から繰り返し使うことで、機能を維持することが可能です。自身が安全に行える範囲のことは自分で行うこと、デイケアなどで周囲との交流をしつつ楽しく活動する機会を作ることが重要です。

薬剤の作用・副作用

認知症は進行すると、怒りっぽくなったり、眠れなくなったりすることが多く見られます。生活に支障がでる症状の場合には、抗精神病薬や睡眠導入剤を使用することも少なくありません。これらの薬剤は活動性や認知機能の低下につながることがあり、注意が必要です。
また、認知症の治療薬(ドネペジルやメマンチンなど)を使用している場合には、これらの薬を中止することで認知症が一気に進んでしまうことがあります。

不眠症/日中の眠気

疲れが溜まっていたり、夜に寝付けなかったりした場合には、日中の強い眠気により、反応が鈍くなったり、認知機能が低下したりすることがあります。
ぼーっと過ごしてしまうと、頭を使う機会が減少するため、それにより認知症が一気に進んでしまうことがあります。

体調の悪化

高熱が出るなど体調が悪化した場合には、活動意欲がなくなり、ぼんやりとしてしまうことがあります。また、倦怠感などで動けなくなってしまうことをきっかけに認知機能低下が急激に進行してしまうことがあるため、日ごろから体調管理に注意が必要です。

食欲不振・低栄養

食欲不振などにより栄養状態が悪化した場合に認知機能が急激に進む場合があります。
ビタミンB1やB12などのビタミン欠乏や、亜鉛や葉酸などの微量元素の欠乏により認知機能低下が急激に進行する場合があります。欠乏した栄養を補充することで認知機能が改善することもあるため、急激な認知機能低下を認めた場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

「認知症の原因」についてよくある質問

ここまで認知症の原因などを紹介しました。ここでは「認知症の原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

認知症になりやすい人の性格について教えてください。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

知的な活動や社会的な関わりが少なく、活動意欲に乏しい性格の人は認知症を発症するリスクが高いです。また活動的性格であっても、ボクシングやラグビー、アメリカンフットボールなどの接触スポーツで日常的に頭に衝撃を受けている方は、将来認知症に発症するリスクが高まるため注意が必要です。

認知症の罹患率が高い血液型や原因を教えてください。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

AB型の人で認知症の発症リスクが高いという報告はありますが、健康診断のデータベースを元に調べた研究では血液型ごとに認知症の発症率に違いがなかったという報告もあります。血液型が認知症にどの程度影響するかは、現時点ではまだわかっておりません。

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