白内障手術を受けた後、視力の回復や術後の生活にどのような注意が必要かご存じですか? 多くの場合、手術翌日から視力が回復しますが、目を守るための安静や作業制限が求められることもあります。また、人工レンズの特性や術後合併症のリスクについても知っておくことが大切です。この記事では、白内障手術後の過ごし方や注意点について、医師の蒲山先生が詳しく解説します。安心して手術を受けるための参考にしてください。
監修医師:
蒲山 順吉(川口眼科)
2006年昭和大学医学部卒業。小沢眼科内科病院医員、昭和大学藤が丘病院眼科助教、三友堂病院眼科医長、昭和大学眼科兼任講師を経て2015年川口眼科副院長、2023年同院長。医学博士、日本眼科学会認定眼科専門医、視覚障害者用補装具適合判定医、緑内障トラベクトーム手術研究会認定トレーナー。
編集部
手術を終えたあとはどのようなことに注意すれば良いのでしょうか?
蒲山先生
デスクワークや軽労働であれば翌日から可能ですが、あまり目を疲れさせる作業は行わないようにしましょう。力仕事などの作業は術後1週間くらい控えましょう。また、アイメイクや洗顔も術後1週間くらいから可能です。
編集部
術後はすぐに視力が回復するのですか?
蒲山先生
多くの症例で手術翌日から視力回復しますが、炎症や傷の回復によって数週間かかる方もいます。また人工レンズの見え方は決して若い頃の見え方に戻るわけではないので、慣れるのに時間がかかる方もいます。
編集部
なるほど。個人差が大きいのですね。
蒲山先生
そうですね。手術後は人工レンズが目の中に入ります。すべての人に共通することとして、人工レンズにはピント調節機能がないため、距離によってよく見える距離とボヤける距離が必ず生じます。眼鏡を作成するまでは人によって生活の中で見えにくさを感じることはあるでしょう。
編集部
術後の見え方が気になるという人はとても多いと思います。
蒲山先生
術後の「見えにくい」原因はいろいろあります。そもそも目にほかの病歴があり視力が出にくい方や術後合併症が生じる方もいます。そのほかにも、視力は良いのに飛蚊症がクッキリ見える、光の線やレンズの縁のような影が見えるなど、人工レンズ特有の「気になる見え方」が生じます。不安は抱えずにどんどん医師に相談してみましょう。
編集部
合併症などのリスクはありますか?
蒲山先生
はい、ワクチン後の副反応と同じです。みんなに起こるわけではないですが、どんなに稀であっても手術を受ける方全員がそれを起こすリスクを背負うということです。白内障手術の場合、確率は非常に低いものの以下のような合併症が挙げられます。
眼内の大きな出血
眼圧の異常
角膜の障害
黄斑のむくみ
網膜剥離
眼内炎(感染症)など
発生する確率は低いので必要以上に恐れることはありませんが、「自分にももしかしたら起こり得る」ことは頭の片隅においておきましょう。
※この記事はMedical DOCにて【「白内障」術後の安静期間と注意点を眼科医解説! 術後の見え方や気をつけたい生活トラブルは?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
配信: Medical DOC