認知症の前兆や初期症状について
認知症の前兆や初期症状は、日常生活の中で見逃されがちですが、早期発見が重要です。初期症状として一般的なのは、記憶障害です。例えば、最近の出来事を忘れる、同じ話を何度も繰り返す、物を置き忘れるなどの症状が見られます。これらの症状は、加齢によるもの忘れとは異なり、日常生活に支障をきたすことが多いです。
見当識障害も初期症状の一つで、時間や場所、人の認識が困難になることがあります。例えば、日付や曜日がわからなくなる、自分の住んでいる場所がわからなくなる、家族や友人の顔を認識できなくなるなどの症状が見られます。
遂行機能障害は、計画を立てて物事を進める能力が低下する症状です。例えば、料理の手順がわからなくなる、買い物の際に計算ができなくなる、日常の家事ができなくなるなどの症状が見られます。これにより、日常生活の中でミスが増え、本人や家族にとって大きな負担となります。
言葉がうまく出てこない言語障害という症状もあります。話の内容が理解できない、書かれた文字が読めないなどの症状が見られます。その結果コミュニケーションが困難になり、社会的な孤立が進むことがあります。
その他に行動・心理症状(BPSD)も初期に現れることがあり、不安や抑うつ、興奮、徘徊などが見られます。これらの症状は、患者さん本人だけでなく、家族や介護者にとっても大きな負担となります。早めに症状に気づき、適切な対応をすることが重要です。
これらの症状がみられた場合、脳神経内科、精神科、脳神経外科を受診して適切な検査・治療を受けることをおすすめします。
認知症の検査・診断
認知症の検査・診断は、複数のステップを経て行われます。まず、医師による問診が行われ、患者さんや家族から現在の症状や病歴について詳しく聞き取ります。問診では、記憶力や判断力、日常生活の状況などについて質問されます。
身体検査では、血液検査や尿検査、心電図検査、感染症検査などが行われ、他の疾患の可能性を排除します。これにより、認知症の原因を特定していきます。
神経心理学検査も重要な診断の1つです。代表的な検査には、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)やミニメンタルステート検査(MMSE)があります。これらの検査では、簡単な計算や記憶のテスト、図形の描画などが行われ、認知機能の障害の有無を評価します。
画像検査も診断に欠かせません。CTやMRIを用いて脳の形状や萎縮の程度、脳血流の状態を調べます。特に、アルツハイマー型認知症では、海馬の萎縮が見られることが多く、これを確認するためにVSRAD検査が行われることがあります。また、SPECTやPETを用いて脳の血流や代謝を調べることもあります。
これらの検査結果を総合的に評価し、認知症の診断が下されます。診断が確定すれば、適切な治療やケアの方針が立てられます。
配信: Medical DOC