「 認知症」の前兆・初期症状を医師が解説 早期発見するために家族が見るべきこととは

「 認知症」の前兆・初期症状を医師が解説 早期発見するために家族が見るべきこととは

認知症の治療

認知症の治療には、薬物療法と非薬物療法の2つのアプローチがあります。薬物療法では、抗認知症薬が使用されます。代表的な薬には、アリセプト、レミニール、イクセロンパッチリバスタッチパッチ、メマリーなどがあります。これらの薬は、神経伝達物質の分解を抑えたり、情報伝達を整えたりすることで、認知機能の維持を図ります。また、行動・心理症状(BPSD)に対しては、抗精神病薬や抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などが使用されることがあります。

非薬物療法も重要な治療法です。認知リハビリテーションや認知トレーニング、回想法などがあります。認知リハビリテーションでは、ゲームやパズル、計算ドリルなどを使って脳を活性化させ、認知機能の維持や回復が目標です。回想法では、昔の残存記憶を思い出し、話すことで認知機能への直接的な効果より、気分、意欲の改善などにおいて有効性が示されています。

運動療法も非薬物療法の1つとして効果的です。散歩やラジオ体操、スポーツなどの有酸素運動を取り入れることで、脳への刺激を増やし、気分転換を図ります。これにより、筋力や心肺機能の低下を防ぎ、転倒や寝たきりのリスクを抑えることができます。

絵画療法や音楽療法も含めた芸術療法も有効です。音楽を鑑賞したり、演奏することでリラックス効果を得られ、感情の安定や自発性の改善に役立ちます。絵画や陶芸、折り紙などの芸術活動を通じて脳を活性化させることも効果的です。

他にはさらに、ペット療法やアロマセラピーなども取り入れると効果的です。動物とのふれあいを通じて感情の安定を図り、アロマセラピーでは香りによるリラックス効果と、中核症状である認知機能の改善にも効果があると言われています。

認知症になりやすい人・予防の方法

認知症になりやすい人には、いくつかのリスク要因があります。1つ目に、加齢は最も大きなリスクの1つです。年齢が上がるにつれて認知症の発症リスクも高まります。特に65歳以上の高齢者では、認知症の発症率が増加します。

遺伝的要因も影響していて、家族に認知症の患者さんがいる場合、そのリスクは高まります。特にアルツハイマー病は遺伝的要因が強いとされています。

生活習慣も認知症に影響を与える原因の1つです。高血圧、糖尿病、肥満、喫煙、過度の飲酒などは、認知症のリスクを高める要因です。また、運動不足や不健康な食生活もリスクを増加させます。

社会的孤立や抑うつも認知症のリスクになります。社会的に孤立している人や、長期間にわたって抑うつ状態にある人は、認知症のリスクが上がります。

認知症の予防には、生活習慣の改善が大切です。まず、定期的に適度な運動を取り入れることが推奨されます。ウォーキングやジョギング、体操などの有酸素運動は、脳への血流を増やし、認知機能の維持に役立ちます。

健康的な食生活も予防に必要な要素です。バランスの取れた食事を心がけ、特に野菜や果物、魚、ナッツ類を積極的に摂取することが推奨されます。地中海食やDASH食は、認知症の予防に効果があるとされています。

社会的なつながりを保つことも予防に役立ちます。友人や家族との交流を大切にし、地域の活動やボランティアに参加することで、社会的孤立を防いで認知症予防につながります。

知的活動を続けることも予防に効果的です。読書やパズル、ゲーム、趣味の活動などを行い脳を活性化させることが推奨されます。新しいことに挑戦することで、脳の刺激を増やし、認知機能の低下を防ぐことができます。

ストレス管理も重要です。過度なストレスは認知機能に悪影響を与えるため、リラックスする時間を持ち、趣味や運動を通じてストレスを解消することが大切です。

関連する病気

アルツハイマー病

脳血管性認知症

レビー小体型認知症

前頭側頭型認知症

脳梗塞脳出血脳腫瘍

慢性硬膜下血腫

正常圧水頭症

パーキンソン症状

高血圧糖尿病

肥満

抑うつ

参考文献

政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」

横浜市健康・医療・福祉

若年性認知症支援ガイドブック

厚生労働省「認知症の行動、心理症状」

認知症リハビリテーションの現状とエビデンス

公益財団法人長寿科学振興財団(アロマ療法)

公益財団法人長寿科学振興財団(アニマルセラピー)

国立研究開発法人国立長寿医療研究センター

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