目まぐるしい時代の変化に伴い、日々強いストレスやプレッシャーを感じている方が大半を占める世の中になりました。
いつの間にか疲れた状態が日常的になっており、それゆえに危機感を抱いている方はほとんどいないことでしょう。
しかし、疲労の中にも「慢性疲労症候群」という立派な疾患があることをご存じでしょうか。
あなたが通常の疲れだと我慢していたその症状も、実は「慢性疲労症候群」によるものかもしれません。
本記事では、本人も周囲の方も気づくことが難しい「慢性疲労症候群」について詳しく解説します。
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※この記事はMedical DOCにて『「慢性疲労症候群」になると現れる症状・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
慢性疲労症候群とはどんな病気?
慢性疲労症候群とはどんな病気なのか教えてください。
慢性疲労症候群とは、ある日から突然原因不明の疲労感や倦怠感に襲われ、その後半年以上回復しない・回復してもすぐまたひどい倦怠感に襲われるような病気です。
日常生活に支障をきたすほどの疲労感・筋肉や関節の痛み・記憶力や集中力の悪化・無気力・脱力感などの様々な症状に悩まされます。
症状の程度は人によって異なりますが、総じて日常生活に影響が出ていることが特徴です。
慢性疲労症候群の原因はなんですか?
実は、慢性疲労症候群の原因は未だわかっておりません。とはいえ、日々の研究により少しずつ明らかになってきています。現在有力とされている学説は、感染症説・内分泌異常説・免疫異常説・代謝異常説・自律神経失調説などです。
一概に原因がこれであると断定できることはなく、相互に関連し合いながら慢性疲労症候群を引き起こす可能性が指摘されています。
慢性疲労症候群を発症した際にみられる症状が知りたいです。
慢性疲労症候群を発症した際には、
微熱がある
喉の痛み
リンパ節の腫れ
原因不明の筋力の低下
少しの動作で全身の倦怠感に襲われる
良質な睡眠がとれていない
頭痛がしたり、重く感じたりする
無気力な状態である
憂鬱になる
耳鳴りがする
食欲がわかない
嘔吐や下痢がある
疲労感以外にもこれらの症状に悩まされることがあります。
半年以上続いていたり、再発を繰り返したりしている場合には、慢性疲労症候群の可能性が高いでしょう。ただこれらの症状には個人差があり、常に同じ症状に悩まされ続けるとも限りません。
長期間にわたって日常生活に支障をきたすような不調を感じているのであれば、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
通常の疲れとどのような違いがあるのでしょうか
通常の疲れと慢性疲労症候群の違いは、ずばり改善の程度にあります。通常の疲れであれば時間の経過とともに消失していくものですが、慢性疲労症候群では休んでもほとんど回復することがありません。
疲労感がなくなったと思ってもすぐに再発することがあり、身に覚えがないのに突然現在よりも悪化することもあります。
体力だけでなく精神的にも大きなダメージを負うため、寝たきりになってしまう方も少なくありません。また通常の疲れとは異なり、前述のように様々な症状に悩まされることがあるのも慢性疲労症候群ならではの特徴です。
きちんと医療機関を受診して、診断してもらう必要があります。
編集部まとめ
慢性疲労症候群は原因がわかっておらず、診断も難しい病気です。
それに伴い、当の本人が通常の疲れだと勘違いして我慢してしまったり、周囲から怠けていると誤解され続けてしまったりすることは少なくありません。
慢性疲労症候群は立派な病気です。
お一人で悩まず、きちんと医療機関を受診して診断してもらう必要があります。
原因不明の疲労や多様な症状が半年以上続いている場合は、放置せずに内科や精神科を受診するようにしましょう。
参考文献
慢性疲労症候群について
慢性疲労症候群
配信: Medical DOC
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