「鼓膜穿孔」を発症しやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

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鼓膜穿孔の治療

鼓膜穿孔の治療は、鼓膜の状態や症状に応じて、経過観察、抗生物質や鎮痛薬の処方、鼓膜形成術が選択されます。

経過観察

鼓膜穿孔が小さく、自然に治癒する可能性が高い場合には、特別な治療を行わず、経過観察となります。

鼓膜にはある程度の自己修復能力が備わっているため、穿孔が小さい場合には数週間から数ヶ月で穴が塞がることが期待できます。
治癒を促進するために耳を清潔に保ちつつ、水が入らないように注意することが大切です。シャワーや入浴の際には防水用の耳栓を使用するとよいでしょう。

抗生物質や鎮痛薬の処方

鼓膜穿孔の原因が中耳炎などの炎症である場合は、抗生物質が処方されます。中耳炎の多くの原因は細菌感染によるもののため、内服薬または点耳薬として抗生物質を使うことで、原因となっている中耳炎の治癒が期待できます。

また、痛みが強い場合には鎮痛薬が併用される場合もあります。抗生物質は医師の指示に従って、きちんと飲み切ることが大切です。

鼓膜形成術

穿孔が大きい、または自然治癒が見込めない場合には、鼓膜形成術と呼ばれる手術が行われることがあります。鼓膜形成術では、患者自身の皮下組織や耳の軟骨などを用いて鼓膜の穴を塞ぎ、音の伝達機能を回復させます。

手術は局所麻酔または全身麻酔下で行われ、短時間で終了するケースが多いですが、術後の経過観察が必要です。
手術後は、耳を清潔に保ち、刺激を与えないよう注意しましょう。また、水の侵入を防ぐため、日常生活でも耳栓を使うことが推奨されています。

鼓膜再生療法

近年は、患者さんの負担が少なく済む「鼓膜再生療法」が注目を浴び、実施されるケースが増えています。
鼓膜再生療法は、薬がついたスポンジを一定期間置くことで鼓膜を再生させる治療です。皮膚を切開することなく、日帰りで受けられます。
手術の対象となるのは、鼓膜穿孔が外耳道からはっきりと観察でき、中耳の状態が健康な方に限ります。

鼓膜穿孔になりやすい人・予防の方法

鼓膜穿孔は、耳掃除を頻繁に行う人、飛行機での移動やスキューバダイビングなど、気圧の変動を伴う活動が多い人に発生しやすい傾向があります。

耳かきを使用する場合は、周りに子どもやペットがいないかなどを確認したうえで、鼓膜に触れないように注意することが大切です。また、耳掃除の頻度が多い場合は減らし、必要以上に耳の奥を掃除しないよう心がけましょう。

小さな子供は中耳炎にかかりやすいため、基本的な感染症予防を徹底することが大切です。もし小さな子どもが「よく耳を触る」「なかなか眠らない」といった行動が見られた場合は早めに医師の診察を受けるようにしましょう。

関連する病気中耳炎

耳管狭窄症

鼻炎

急性副鼻腔炎メニエール病ヘルパンギーナサルコイドーシスアトピー性皮膚炎糖尿病

参考文献

恩賜財団 済生会「鼓膜穿孔(こまくせんこう)

新潟市医師会「鼓膜穿孔に対する新しい治療法」

徳島県医師会「難聴と鼓膜穿孔」

大阪 医学研究所北野病院「難聴・鼓膜再生センター」

慶応義塾大学病院KOMPAS「薬剤による鼓膜再生療法」

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