掌蹠膿疱症の治療
掌蹠膿疱症の治療は、上述の検査による状況で分けることができます。
感染巣が特定できている場合と、その憎悪因子、つまり症状の原因がはっきりとしない場合では治療法は異なります。
それぞれの場合に分けて治療法を見ていきましょう。
感染巣が特定できている場合の治療
掌蹠膿疱症を引き起こした感染巣がはっきりとしている場合には、その感染巣に対しての治療を行うことで症状の緩和を目指します。抗菌薬の投与や病変部の除去が一般的です。金属アレルギーが原因で、掌蹠膿疱症を発症している場合があります。検査で陽性となった場合には、対象の金属を避けることで症状が緩和する可能性もあるでしょう。これらの感染巣の治療のために、歯科医院や耳鼻科に並行して受診する必要性も考えられます。まずはしっかり主治医と相談して、治療方法を決めていくことをおすすめします。
憎悪因子がはっきりしない場合の治療
掌蹠膿疱症を引き起こした要因がはっきりしない場合には、対症療法が中心となってくるでしょう。皮疹に対しては、ステロイド軟膏を中心とした外用薬を用いることが考えられます。また、痒み関節の痛みに対して内服薬を処方して、症状の緩和を図ることもあるでしょう。 なお、患者さんのうち感染巣がはっきりせず対症療法によって治療を進める方は7〜8割と少なくありません。ただし平均3〜7年で症状が軽減されることや治癒することが少なくありません。長期を要するものの支障がない状態まで回復するとの研究もあります。 長期での治療となる可能性は否めませんが、根気よく向き合っていくことで日常への影響がかなり減らせると考えられます。まずは皮膚科に相談したほうがよいでしょう。
掌蹠膿疱症になりやすい人・予防の方法
掌蹠膿疱症の感染者は、男性よりも女性のほうが多いことから、女性の感染の可能性が高いと考えられます。また30代〜50代の患者数が保険請求件数から多いと推察されます。
掌蹠膿疱症は病巣感染の可能性があることから、その感染巣とされる扁桃や歯周の炎症、金属アレルギーに罹患している方は感染の可能性がほかの人と比べて高いです。
予防の方法としては感染巣を軽減することが挙げられます。
扁桃や歯周の炎症が影響すると考えるならば、感染症への予防が効果的です。
病巣感染のきっかけとしては、喫煙や精神的なストレス、下痢や便秘といった免疫状態の変化が想定されます。
特に喫煙は統計学的にも掌蹠膿疱症との関連があるといった研究結果があります。掌蹠膿疱症の患者さんの80%が喫煙者といったデータもあることから、喫煙との関連性は高いと考えられるでしょう。禁煙をしたからといって必ず症状が改善するわけではありませんが、喫煙を避けることをおすすめします。
下痢や便秘も感染症同様、体内環境に大きな影響を及ぼすと考えられることから、まったく関係がないとは言い切れません。
下痢や便秘には栄養バランスの乱れだけでなく運動不足やストレスといったさまざまな要因が関連しています。日頃の生活習慣を見直すことで改善に向かうことも考えられます。
またストレスの緩和は、それ自体が掌蹠膿疱症の予防に効果をもたらす可能性があるため、覚えておくとよいかもしれません。
掌蹠膿疱症が皮膚疾患であることから、症状のあらわれる手のひらや足の裏を保湿することも、発症後の負担を軽減につながります。日頃から実践してみると効果がある可能性があります。
原因がはっきりと特定されていないうえ、病巣感染の原因が多岐に渡るため、予防の方法もさまざまです。日頃の生活習慣を見直すことが掌蹠膿疱症の予防に大きく関わるといえるでしょう。
参考文献
掌蹠膿疱症|埼玉皮膚科医会
治療法について|掌蹠膿疱症患者会 PPPコミュニティ Community
喫煙と皮膚疾患 喫煙と皮膚疾患
便秘|国立研究開発法人国立がん研究センター
配信: Medical DOC
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