健康診断でHbA1cが5.7%以上だった場合、「糖尿病予備軍」と診断される可能性があります。この状態を放置すると糖尿病を発症するリスクが高まりますが、早めの生活改善で進行を防ぐことが可能です。この記事では、糖尿病予備軍と診断された場合の対処法や、HbA1c数値の見方について糖尿病専門医の川名部先生が解説します。健康管理の第一歩を学びましょう。
監修医師:
川名部 新(おばな内科クリニック)
聖マリアンナ医科大学卒業。同大学病院では代謝内分泌を主として、糖尿病や生活習慣病を専門に経験を重ねる。2023年4月より川崎市中原区にある『おばな内科クリニック』を継承し、院長を務める。日本内科学会認定医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医、日本内分泌学会認定内分泌代謝科専門医、臨床研修指導医
編集部
HbA1cが高めの人は糖尿病予備軍でしょうか?
川名部先生
そうですね。HbA1cが高い場合は高血糖の兆候である可能性が高く、糖尿病予備軍の状態を示唆することになります。具体的には、HbA1cが5.7〜6.4%の範囲にある場合、糖尿病予備軍とみなされることがあります。
編集部
糖尿病予備軍と言われたら、どうしたら良いのでしょうか?
川名部先生
糖尿病予備軍の人々は将来的に糖尿病を発症する可能性が高いため、注意が必要です。糖尿病になる前に、食事や生活スタイルの見直しを行うことが健康を維持する上で重要になります。
編集部
具体的にどうしたら良いでしょうか?
川名部先生
まずは、体重を意識して生活していただきたいです。体重増加は血糖を上げる原因のひとつです。体重が減れば、血糖改善を見込めますので、体重が増えないように意識することは大切です。実は、毎日体重を測定するだけでも、体重増加を防ぐ効果があるという報告もあります。私の患者さんでも、毎日体重を量るようにしただけで、自然と意識が高まり、体重が減ってきたと言う方もいます。さらに、余裕があれば通勤などで階段使うなど、ちょっとした運動を取り入れたり、夕食の炭水化物を少し減らしてみたりなど、無理なく続けられそうなことから始めてみてほしいですね。
編集部
最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。
川名部先生
糖尿病は、たくさんの合併症があり、全身に影響を及ぼす疾患で、早期発見が合併症予防のカギとなります。現時点で糖尿病と診断されていない方も、健康診断の結果でHbA1cが5.7以上の人は予備軍または初期の糖尿病の可能性がありますので、お近くの内科医、できれば糖尿病専門医へ相談されることをお勧めします。もちろん、HbA1c6.5以上の方は早急に受診してください。もうひとつ、例えば貧血の方や、特定のお薬を摂取している方などは、Hba1cの数値の信頼性が下がっている可能性もあります。Hba1cの値だけで一喜一憂せず、値が正常範囲内でも、気になることがあれば自己判断せずに医療機関で検査してもらいましょう。
※この記事はMedical DOCにて【糖尿病を判別する「HbA1c」の見方を医師が解説 健康診断・血液検査で調べるこの数値の意味とは?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
配信: Medical DOC
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