「手が震える」のは「パーキンソン病」や「アルコール依存症」が原因?医師が解説!

「手が震える」のは「パーキンソン病」や「アルコール依存症」が原因?医師が解説!

「手が震える」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「手が震える」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

生理的振戦

生理的振戦とは、健康な人でも日常生活の中で見られるごく小さな震えのことです。この震えは、特に手や指に現れることが多く、特定の状況下で強くなることがあります。
例えば、試験やプレゼンテーションなどの緊張する場面で一時的に震えが強くなることがあります。また、体が疲れているときに震えが増すことがあります。
コーヒーやエナジードリンクなど、カフェインを摂取した後に震えが強くなることもあります。さらに、食事を取らずに血糖値が低くなると震えが起こることがあります。
生理的振戦は誰にでも起こりうる普通の現象であり、多くの場合、特に心配する必要はありません。
通常は治療を必要とせず、リラックスすることで震えが収まることが多いです。例えば、深呼吸やストレッチ、カフェイン摂取を控えるなどの方法が効果的です。震えが頻繁に起こったり、日常生活に支障をきたしたりする場合は、内科や神経内科を受診することをおすすめします。

本態性振戦

本態性振戦は、手の震えの原因の中では最も多いものです。
震え以外に症状がなく、さまざまな検査をしても原因となる病気がわからないとき、本態性振戦と呼びます。本態性振戦は、手を挙げているときや、手を動かしているときにみられる動作時振戦であることが多いです。症状が軽度の場合は治療が必要ないことが多いですが、生活に支障をきたす場合は脳神経内科を受診してください。
βブロッカーという薬や精神安定剤によって震えを軽くできる可能性があります。薬物治療でも症状が改善しない場合には、深部脳刺激療法が有効なこともあります。

パーキンソン病

パーキンソン病は、高齢化が進むに連れて有病率が高くなっています。手などが震える振戦がみられます。また、動作がゆっくりになる、
筋肉が固くなってしまう、転びやすくなるなどが主な症状です。
中脳にある黒質ドパミン神経細胞の減少によって起こるとされています。
パーキンソン病による震えの典型的なものは、丸薬丸め運動と呼ばれています。これは、親指と人差し指をこすり合わせるような動きで、1秒間に4~6回の頻度でみられます。
パーキンソン病の治療は、薬物治療が基本となります。ドパミンを補うために、L-dopa (レボドパ)を内服します。その他、抗コリン薬、アマンタジンなどがあります。
震えの他にも、動作がゆっくりになってしまうなどといった症状が現れた場合には、神経内科や脳神経外科などを受診しましょう。

アルコール依存症

アルコール依存症は、アルコールを繰り返し大量にとった結果、精神的あるいは身体的にお酒に依存してしまう精神疾患です。症状は、アルコールが身体から切れると手指の震えや汗が出るといった禁断症状や、飲酒量が多くなるなどがあります。
アルコール依存症の治療薬としては、抗酒薬(こうしゅやく)などがあります。
アルコールの多飲によって日常生活に支障が出ている場合、精神科や心療内科の受診をおすすめします。また、お酒の飲みすぎのために肝機能障害をきたしている場合には、消化器内科での治療が必要となることもあります。
アルコール依存症を克服するためには、心理的なサポートも大切です。保健所や精神福祉センターなどでも、アルコール依存症についての情報提供を受けたり相談をしたりすることができます。

薬剤性振戦

喘息の治療のために使う気管支拡張剤(テオフィリン製剤やβ刺激剤)は、振戦を引き起こすことがあります。また、精神疾患やうつ病の治療薬の一部も、パーキンソン病と同じような震えの原因になることもあります。こうしたパーキンソン病のような震えは、薬剤性パーキンソニズムとも言います。パーキンソン病とは違い、何らかの姿勢をとろうとした際に震えがでる、姿勢時振戦が多いとされています。
高血圧の治療などに使われるカルシウム拮抗薬でも振戦が生じることがあります。
薬剤性振戦を起こしうる薬を内服している際に、手が震えるなどの症状が出た場合には、主治医や担当医に相談しましょう。

「手が震える」の正しい対処法は?

手の震えは、それ自体が生活を脅かすことは少ないです。
誰にでも起こりうる生理的な震えは、寒さや過度の緊張などで起こります。そのため、まずはリラックスすることが大切です。
震えを改善させる市販薬などは一般的ではありませんが、薬剤の中には震えの原因となるものもあります。処方してもらうときの医師や薬剤師の説明をしっかりと聞きましょう。
身体の震え以外に、動作がゆっくりになる、動悸がある、手足が動かしにくいなどの症状がある場合には、医療機関を受診するようにしましょう。

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