「ナルコレプシーの診断方法」はご存知ですか?症状や原因も解説!【医師監修】

「ナルコレプシーの診断方法」はご存知ですか?症状や原因も解説!【医師監修】

日中の強い眠気に悩まされていませんか?
突然の睡眠発作や日常生活に支障をきたす程の眠気は、ナルコレプシーという病気の症状かもしれません。
本記事ではナルコレプシーの診断について以下の点を中心にご紹介します。

・ナルコレプシーとは
・ナルコレプシーの検査と診断
・ナルコレプシーの治療

ナルコレプシーの診断について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)

専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医

ナルコレプシーの診断に至るまで

ナルコレプシーとは何ですか?

ナルコレプシーは、日中に突然強い眠気に襲われ、場所や状況に関係なく眠りに落ちてしまう過眠症の一種です。日本では600人に1人程度の割合で見られ、思春期から青年期にかけて発症することが多いとされています。

この疾患の特徴は、普通の状況下でも急に眠気が生じることです。例えば、会議や運転中に眠ってしまうことがあり、日常生活や社会活動に大きな支障をきたすことがあります。さらに、笑ったり興奮したりすると全身の力が抜けるカタプレキシーや、金縛り、幻覚なども伴うことがあります。

ナルコレプシーはどのような症状が現れますか?

ナルコレプシーの主な症状は、以下のような症状です。

睡眠発作
日中の突然の強い眠気や居眠りです。運転中や会話中でも制御できない程の眠気に襲われることがあり、30分程度の短時間の居眠りでスッキリ目覚めることがありますが、すぐに眠気が起こります。

情動脱力発作(カタプレキシー)
喜びや驚きなどの感情が高まると、体の力が抜けたり呂律が回らなくなったりする発作です。脱力時間は数秒から2分程度とされ、意識消失はありません。

睡眠麻痺(金縛り)
入眠時のレム睡眠の頻度が増えることで、浅い眠りで意識はあるけれど身体が動かなくなる症状です。

入眠時幻覚
入眠時に幻覚を生じる症状で、80%程度の患者さんに現れるとされています。睡眠麻痺と同時に起こることも少なくなく、患者さんは怖い体験として生々しい幻覚を経験します。

その他
夜間の睡眠の質が低下し、浅い睡眠が多くなるため、熟睡感が得られにくくなったり、集中力ややる気が低下するという問題も発生します。

ナルコレプシーの原因は何ですか?

ナルコレプシーの主な原因は、脳の視床下部にあるオレキシンという物質の分泌が不十分であることです。オレキシンは、脳の覚醒状態を維持し、レム睡眠を制御する重要な役割を果たしています。オレキシンが不足すると、覚醒状態が安定せず、突然の眠気やレム睡眠の乱れが生じ、さまざまな症状が引き起こされます。
さらに、ストレスや頭部外傷、ウイルス感染といった外的要因が引き金となり、ナルコレプシーを発症しやすい体質を持つ方に症状が現れることもあります。

ナルコレプシーの診断・検査方法

ナルコレプシーの診断は何科を受診すればよいですか?

ナルコレプシーの診断を受ける際には、まず睡眠障害を専門に扱う睡眠外来を受診してみるとよいでしょう。1ヶ月以上日中の眠気や突然の居眠りが続く場合は早めに医療機関へ相談し、睡眠外来などが近くにない場合は、精神科や神経内科も対応しています。
また、原因の特定が難しい場合は、かかりつけ医を通して適切な診療科に紹介してもらうのもよい方法です。

ナルコレプシーの検査方法を教えてください

ナルコレプシーの主な検査について、以下に述べます。

終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
脳波、筋電図、眼球運動、心電図などを一晩かけて記録し、睡眠時無呼吸症候群などほかの睡眠障害を除外するために行います。

反復睡眠潜時検査(MSLT)
日中の眠気の強さを評価するため、2時間ごとに5回、20分間の短い睡眠テストを実施し、眠りに落ちるまでの時間を測定します。この検査で、特発性過眠症など類似する病気との区別も行います。

髄液オレキシン検査
腰椎穿刺を行い、脳脊髄液中のオレキシン濃度を確認する侵襲的な検査で、ナルコレプシーの確定診断に有効とされています。情動脱力発作を伴う患者さんでは、オレキシンの濃度が低いことが確認されます。

ヒト白血球抗原(HLA)検査
白血球の血液型であるHLAを検査し、遺伝子型の組み合わせを確認します。ただし、この検査は参考値として用いられ、確定診断には使われません。

これらの検査は、組み合わせて行われることがあります。

ナルコレプシーはどのように診断されるのですか?

ナルコレプシーの診断は、まず詳細な症状の聞き取りから始まります。患者さんの睡眠習慣や日中の眠気、金縛りや情動脱力発作の有無といった過去の症状を丁寧に確認し、発症の時期や頻度を把握します。しかし、これだけでは確定診断には至らないため、精密検査が必要です。

診断に用いられるのは、先述した終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)と反復睡眠潜時検査(MSLT)が主となり、ナルコレプシー特有の早期のレム睡眠(入眠時レム睡眠期)の有無が確認されます。

また、情動脱力発作を伴うナルコレプシーの場合、脳脊髄液中のオレキシン濃度を測定することで確定診断が可能とされています。これらの検査を通じて、ほかの過眠症との鑑別を行い、最終的な診断が下されます。

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