「聴神経鞘腫」の前兆・初期症状はご存知ですか? 特徴を併せて医師が解説

「聴神経鞘腫」の前兆・初期症状はご存知ですか? 特徴を併せて医師が解説

監修医師:
勝木 将人(医師)

2016年東北大学卒業 / 現在は諏訪日赤に脳外科医、頭痛外来で勤務。 / 専門は頭痛、データサイエンス、AI.

聴神経鞘腫の概要

聴神経鞘腫(ちょうしんけいしょうしゅ)は聴神経腫瘍とも呼ばれ、第8脳神経(内耳神経)の聴神経を包む細胞に発生する良性の腫瘍です。

聴神経には体のバランスをつかさどる前庭神経と、聴覚をつかさどる蝸牛神経があり、腫瘍が発生することで、難聴や耳閉感(耳が詰まった感じ)、めまいなどの症状が起こります。
片耳に発症することがほとんどであり、発症率は脳腫瘍の約10%を占め、やや女性に多いことが特徴です。
(出典:一般社団法人日本ガンマナイフ学会「主な適応疾患聴神経腫瘍」)

聴神経鞘腫は良性の腫瘍なので、短期間で急に大きくなったり、他の臓器に転移したりすることはありません。
腫瘍は数年かけて成長し、徐々に脳を圧迫します。
脳や周りの組織が圧迫されると、顔面のしびれや歩行中のふらつき、意識障害などの症状が出現する可能性があるため、できるだけ早めの診断が必要です。

聴神経鞘腫を早い段階で見つけるには、造影剤を使用したMRI検査が必要です。
発見された場合は、時期や状態に応じて、腫瘍の増大を抑えるガンマナイフ治療や、腫瘍の摘出術をおこないます。
腫瘍が大きくなって脳が圧迫された段階では、治療法が限られたり、合併症を引き起こす可能性があるため、疑わしい症状が見られたらできるだけ早く耳鼻咽喉科に受診し、早期発見につなげることが重要です。

聴神経鞘腫の原因

聴神経鞘腫のはっきりした原因は明らかになっていませんが、遺伝子異常が関係していると考えられています。
NF2(神経線維腫症2型)という腫瘍の発生を抑制する遺伝子の活動量が落ちていることが、聴神経鞘腫の原因であると考えられ、現在研究が進められています。

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