「聴神経鞘腫」の前兆・初期症状はご存知ですか? 特徴を併せて医師が解説

「聴神経鞘腫」の前兆・初期症状はご存知ですか? 特徴を併せて医師が解説

聴神経鞘腫の前兆や初期症状について

聴神経鞘腫の主な初期症状は、腫瘍がある耳に起こる聴力の低下です。
感音難聴が起こり、高い音が聞こえにくい、さまざまな声が聞き分けにくいなどの症状が現れます。
耳閉感や耳鳴り、めまいなどの症状が見られることもあります。

発症から数年が経過し、腫瘍が大きくなって大脳や小脳、脳幹、脳神経などが圧迫されると、顔面のしびれや歩行中のふらつきなどが生じます。
さらに悪化すると脳室(脳の内部にある空間)が拡大して水頭症も合併し、意識障害や慢性的な頭痛、物忘れ、尿失禁などが起こります。

聴神経鞘腫の検査・診断

聴神経鞘腫の検査は聴覚と平衡感覚の検査を中心におこなわれます。
検査結果より聴神経鞘腫が疑われる場合、造影MRI検査によって確定診断します。

聴覚検査

聴覚検査は、主に純音聴力検査と聴性脳幹反応によっておこないます。

純音聴力検査では、異なる高さの音をヘッドホンで聞かせ、それぞれの音で聞こえる最も小さい音量を調べる検査です。
聴神経鞘腫の特徴として、高音域や中音域(dip型)の聴力低下が見られます。

聴性脳幹反応では、頭部に電極とヘッドホンを装着して音を流し、音刺激に対する脳幹の反応を調べます。
聴神経鞘腫がある場合、正常とは異なる特徴的な反応パターンが認められます。

平衡感覚の検査

平衡感覚の検査は、温度眼振検査や前庭誘発筋電位検査をおこないます。

温度眼振検査は、外耳(耳の入り口)に冷水もしくは温水を流して内耳(耳の最も奥にある聴覚や平衡感覚をつかさどる器官)を刺激し、眼振の誘発を確認します。
聴神経鞘腫がある耳では、内耳の反応が正常に得られないため、正常の耳よりも眼振が少なくなります。

前庭誘発筋電位検査は、耳から音刺激を加えたときに、耳石(内耳のなかにある平衡覚をつかさどる器官)と関係する首の筋肉の反応を筋電図で確認する検査です。
聴神経鞘腫がある耳では、正常の耳よりも胸鎖乳突筋などの筋肉の反応が乏しくなります。

造影MRI検査

聴神経鞘腫の確定診断では、ガドリニウムという造影剤を注入したうえでMRI検査を実施します。
ガドリニウムを併用することで、腫瘍の大きさや周りの組織との関係性を明確に判断することが可能です。
初期段階の腫瘍も発見できるため、早期発見にもつながります。

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