VDT障害(VDT症候群)の予後とリスク
VDT障害(VDT症候群)は完治しますか?
VDT障害(VDT症候群)は、原因となる生活環境・生活習慣を見直し対処療法を行っていくことで、症状を治していくことが可能です。
しかし、VDT障害(VDT症候群)の症状がなくなったとしても、再び目を酷使する機会が増え、目・体への負担が大きくなってしまうと再度VDT障害(VDT症候群)になる可能性があります。
VDT障害(VDT症候群)は、はしか・風疹のように一度なれば二度とならない病気というわけではありません。
生活環境・生活習慣によって発症する症状ということを理解し、日々目を労わった生活を心がけることが大切です。
VDT障害(VDT症候群)が進行するとどうなりますか?
VDT障害(VDT症候群)による目の疲れ・肩こり・ドライアイなどが進行すると、角膜の損傷・頭痛・めまい・吐き気などの症状につながる恐れがあります。
VDT障害(VDT症候群)でよくみられる眼精疲労は、進行することで目だけではなく頭痛・肩こり・倦怠感など全身の不調につながります。目の乾き・痛み・疲れなど目の不調を感じたら、放置せずに早めに専門医に相談しましょう。
放置するリスクを教えてください。
VDT作業によって目が乾きやすい状態が続きドライアイが進行すると、本来涙で覆われている角膜はむき出しの状態になり傷つきやすくなります。角膜の1番外側の層である角膜上皮は、角膜・目のバリアの役割を果たしている層です。
この角膜上皮が、ドライアイによって傷つきやすい状態となってしまうと傷から細菌が入り込む可能性もあります。また、目が乾いた状態は、まばたきだけで角膜に傷がつく可能性もあります。
また、放置することで目の深刻な症状だけではなく、頭痛・吐き気・鬱症状など日常生活に支障をきたす重い症状につながる可能性も否定できません。
VDT障害(VDT症候群)の自覚症状がみられる場合は、放置せずに生活習慣を見直したり専門医に相談したりして放置しないようにしましょう。
パソコンなどを使う仕事の場合はどうしたら良いのでしょうか
仕事などで長時間のパソコン・スマートフォン操作を避けられない場合は、目の負担を軽くする対策をとりましょう。
1時間以上の連続したVDT作業は避ける
1時間VDT作業をしたら10~15分の休憩をとる
部屋・ディスプレイの明るさを調整する(机上の照度は300ルクス以上、ディスプレイは照度500ルクス以下を目安にする)
体型に合った高さの机を使用する
高さ調節できる椅子を使用する
背もたれの傾きを調節できる椅子を使用する
操作しやすいマウスを使用する
室内は適度な湿度に保つ
ストレッチをする
十分な睡眠をとる
パソコンなどを仕事で使用する場合は、これらのことを心がけVDT障害(VDT症候群)予防に努めていきましょう。
長時間のVDT作業を避けられないとしても、適度に休憩をとり目が疲れにくい環境を整えることで、VDT障害(VDT症候群)の予防・対策につながります。
最後に、読者へメッセージがあればお願いします。
パソコン・スマートフォンなど長時間使用する機会が増えた現代人の生活において、VDT障害(VDT症候群)は誰でもなりうる症状といえます。
しかし、パソコン・スマートフォンをはじめとしたディスプレイを全く見ないようにする生活を送ることは非常に難しいものです。だからこそ、VDT障害(VDT症候群)にならないためには目を労わりながらVDT作業をする工夫が大切です。
また、慢性的な目の疲れ・体の不調を感じている場合は、単なる疲れで終わらせず早めに医師に相談しましょう。
編集部まとめ
目の症状だけではなく全身症状や心の不調につながる恐れのあるVDT障害(VDT症候群)は、現代人が注意したい症状の1つといえます。
日頃の生活習慣から、VDT障害(VDT症候群)の心当たりがある人も少なくないのではないでしょうか?
なかなか治らない眼精疲労・肩こり・倦怠感がある人は、もしかしたらVDT障害(VDT症候群)かもしれません。
心当たりがある場合は、放置せずに早めに専門医に相談し、大切な目や体の不調を改善していきましょう。
参考文献
情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて(厚生労働省労働基準局長)
職場のあんぜんサイト(厚生労働省)
自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備(厚生労働省)
配信: Medical DOC