大腸がんは結腸や直腸にできるがんで、良性のポリープががん化して発生するものと、正常の粘膜から発生するものがあります。
初期の段階ではほぼ自覚症状はありませんが、健康診断や人間ドックで早期発見できれば早期に治療も可能です。一方でがんのステージが進行してくると、血便や便秘など便通に不具合が生じたり、ほかの臓器への転移の可能性も考えられます。
がんと診断されると余命が気になる方も少なくないのではないでしょうか。この記事では統計学的に5年の生存率を解説します。また検査方法や治療についても解説しますので、参考にしてもらえると幸いです。
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監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
大腸がんとは?
大腸がんは結腸や直腸にできるがんです。大腸は小腸から続いてお腹のなかを大きく回って肛門へとつながる臓器です。
成人の場合1.5から2m程の長さがあり、結腸(盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S字結腸)と直腸に分けられます。栄養の吸収はほぼ小腸で行うので、大腸は水分吸収を行い便を固形化することが大きな役割です。
大腸に発生するがんは2つの種類があり、1つは線種とよばれる良性のポリープががん化して発生するもの、もう1つが正常な粘膜から直接発生するものです。大腸の粘膜に発生したがんは、大腸の壁に深く侵入し壁の外にまで広がります。またリンパ液にのってリンパ節転移をしたり、血液にのって肝臓や肺など別の臓器へ転移します。
大腸がんの罹患率は男女合計で1位です。男性は1位前立腺・2位大腸・3位胃で、女性は1位乳房・2位大腸・3位肺となっています。
大腸がんステージIIIの余命・生存率は?
大腸がんステージIIIの5年生存率は約79%です。
残念ながら残りの約21%の方は5年生存できない可能性があります。これは再発や転移によって治療が困難になるからです。大腸の壁は内側から粘膜・粘膜下層・固有筋層・漿膜下層・漿膜と5つの層があり、がんの進行によって次第に大腸の壁の粘膜から大腸の壁の外側へ向かって深く侵入していきます。
大腸がんのステージは以下のように0からIVの5段階で表記されています。
ステージ0:がんが大腸粘膜内にとどまるもの
ステージI:がんが固有筋層までにとどまるもの
ステージII:がんが固有筋層を超えて浸潤するもの
ステージIII:がんの深さに関わらず、リンパ節への転移を認めるもの
ステージIV:がんの深さやリンパ節転移に関わらず、ほかの臓器への転移を認めるもの
ステージIIIまでの場合、がん化した部分や周辺のリンパ節を切除する外科手術が一般的です。一時的に軽減または見かけ上消滅した状態を寛解といいますが、ステージIIIまでのケースでは寛解する可能性も高く、5年の生存率が約79%あります。
ただし、ほかの臓器へ転移(ステージIV)では外科手術が困難になり、5年生存率は約21%に下がります。
配信: Medical DOC