大腸がんは近年増加傾向にあり、誰にでもリスクがある病気ですが、初期症状がほとんどないため予防や早期発見が重要です。そこで大腸がんとはどのような病気なのか、そして特にどのような人がかかりやすいのかなどについて、鈴木謙一先生(横浜ベイクォーター内科・消化器内視鏡クリニック横浜駅院)に話を聞きました。
監修医師:
鈴木 謙一(横浜ベイクォーター内科・消化器内視鏡クリニック 横浜駅院)
埼玉医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学病院や昭和大学横浜市北部病院消化器センターなどで経験を積み、2024年に横浜ベイクォーター内科・消化器内視鏡クリニック横浜駅院を開院、院長となる。日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医、日本消化管学会認定胃腸科専門医、日本内科学会認定認定内科医、日本消化器内視鏡学会認定上部消化管内視鏡スクリーニング認定医・大腸内視鏡スクリーニング認定医、日本ヘリコバクター学会認定H.pylori(ピロリ菌)感染症認定医。
大腸がんにはどんな症状があるの?
編集部
大腸がんについて教えてください。
鈴木先生
大腸がんとは、大腸の内側の粘膜に発生する悪性腫瘍で、結腸や直腸に発生するがんを指します。
編集部
どんな症状があるのですか?
鈴木先生
血便や便秘・下痢などの便通異常、ガス(おなら)が頻回に出るなどの症状が出ると言われていますが、多くの場合、大腸がんは進行するまで自覚症状がほとんどなく、初期の段階では気づきにくいという特徴があります。
編集部
大腸がんになる人は多いのですか?
鈴木先生
そうですね。⽇本における大腸がんでの死亡者数は、およそ60年前から右肩上がりで増加中です。40歳代から増え始め、50〜70歳代でとくに多くなります。がん全体で見ても亡くなる人の多いがんで、大腸がんの死亡数は、女性で第1位、男性で第2位。発生数・死亡数ともに増加傾向にあるがんです。
編集部
亡くなる人の多い、怖いがんなのですね。
鈴木先生
数値で見るとそうかもしれませんが、大腸がん自体は、早期発見できれば内視鏡治療で完治できることがほとんどです。先述のように、初期症状がほとんどなく、発見が遅れる傾向があることから数は多くなってしまっています。
「早期であれば完治できる」大腸がんの治療法
編集部
初期症状がないのに、どのようにして早期に発見するのでしょうか?
鈴木先生
大腸内視鏡検査、いわゆる大腸カメラで発見することができます。また、大腸がんの前段階になりうる大腸ポリープの段階で発見し、切除することで予防にもつながります。それも大腸カメラで発見し、切除することができます。
編集部
では、大腸がんの治療について教えてください。
鈴木先生
早期であれば内視鏡手術、つまりポリープと同じように内視鏡検査の時に切除することができます。大きいものだったり、数が多かったりする場合は、検査の時ではなく、別の日に手術を行うこともありますが、いずれにせよ初期段階であれば多くの場合、お腹を切ることなく切除できます。
編集部
進行していた場合はどのような治療をするのですか?
鈴木先生
進行がんであれば、外科的⼿術、抗がん剤治療(化学療法)、放射線療法などの方法があります。転移がない場合は手術だけでの完治も期待できますが、そうではない場合は、手術にプラスして抗がん剤治療、放射線療法などが必要となる可能性が高くなってきます。
配信: Medical DOC