適応障害の症状との向き合い方
適応障害の方とどのように接したらいいですか?
適応障害の方と接する際は、まず病気に対する誤解を避けることが大切です。
適応障害は努力不足や甘えではなく、精一杯適応しようとした結果、適応できなかった状態です。無理に”耐えるべきだ”といったアドバイスは避け、相手の気持ちを尊重する姿勢が求められます。
また、価値観は人それぞれ異なるため、周囲が”恵まれている”と思う環境でも本人にとってはストレスフルなこともあります。過度な干渉や詮索を避け、話を聞く際には否定せずに理解を示すことが重要です。
無理に行動を促すことも避け、回復するまで見守る姿勢が大切です。
適応障害には、どのような治療法がありますか?
適応障害の治療は、まず休養と環境調整が基本です。仕事や学校などがストレス源である場合、仕事や学校を一時的に休むことでストレス源から距離を取り、心身の回復を図ります。必要に応じて、配置転換や異動、転職など、働く環境を調整することも効果が期待できます。
また、精神療法や心理療法も重要で、カウンセリングや認知行動療法を通じてストレスへの対処法を学びます。症状が強い場合は、抗うつ薬や抗不安薬などを用いた服薬治療が行われることもあります。
ただし、薬物療法は一時的な対処であり、根本的な解決には環境の見直しや心理的な支援が重要です。
適応障害を再発させないために気を付けたほうがいいことはありますか?
適応障害の再発を防ぐためには、日々のストレスを溜め込みすぎないことが重要です。適度なストレス解消を心がけ、十分な睡眠や栄養を摂ることで心身をケアしましょう。
もし環境が過度にストレスフルであれば、転職や配置換えなど環境調整が必要な場合もあります。
また、自身のストレスの感じ方やとらえ方のパターンに気付き、それに対処する方法を学ぶことも有用です。リワークプログラムやカウンセリングなどを通じて、ストレスへの対処スキルを身につけ、再発予防を図ることが重要です。
いずれにしても、焦らず自身のペースで生活を整えることが大切です。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
適応障害は、甘えや努力不足ではなく、誰もが陥る可能性のある心の病気です。本人なりに努力をしても環境に適応できないと感じるとき、その辛さを一人で抱え込む必要はありません。
医師やカウンセラーに相談し、適切な治療やサポートを受けることで、再び心身の健康を取り戻せる可能性があります。セルフケアも大切で、ストレスを感じたら早めに休息を取るなど、自身をいたわることが予防につながります。
ご自身や大切な方を守るために、無理をせずサポートを活用しましょう。
編集部まとめ
ここまで適応障害の症状についてお伝えしてきました。適応障害における症状の要点をまとめると以下のとおりです。
・適応障害の心理的(情緒的)症状は、不安や抑うつ、無気力といった感情面での変化、身体的症状には全身のだるさや倦怠感、不眠、食欲不振など、行動面では無断欠勤や不登校などの症状が現れる
・適応障害の症状が現れる主な原因はストレスであり、個人を取り巻く環境や人間関係の変化が引き起こすストレスや、性格や感情の傾向がストレスへの反応に影響を与えている可能性が考えられる
・適応障害の症状が現れた際は、休養と環境調整を基本とし、カウンセリングや認知行動療法を通じてストレスへの対処法を学ぶことが重要である
適応障害は自覚しにくいものですが、適切なケアを行えば改善が見込める症状です。
過ごしやすい毎日を送るためにも、この記事がご参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献
適応障害 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
適応障害|MSDマニュアル家庭版
日本における「適応障害」患者数の増加|J-STAGE
配信: Medical DOC
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