「緑内障」による失明のリスクと対策を眼科医が解説 症状に気づいたときには末期!?

「緑内障」による失明のリスクと対策を眼科医が解説 症状に気づいたときには末期!?

緑内障は、進行すると失明に至るリスクがある恐ろしい疾患です。自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行してしまうケースが多く、早期発見・早期治療が視力を守る鍵となります。本記事では、緑内障がどのように進行するのか、失明のリスクを防ぐためにできる対策などについて、「入間すずき眼科」の鈴木先生に解説してもらいました。

≫【イラスト解説】「緑内障」の原因・なりやすい年齢層

監修医師:
鈴木 貴英(入間すずき眼科)

新潟大学医学部卒業。順天堂大学医学部附属練馬病院や順天堂大学医学部附属順天堂医院、東京都立東部地域病院などで経験を積む。令和6年に「入間すずき眼科」を開院、院長となる。日本眼科学会認定眼科専門医。

緑内障ってどんな病気?

編集部

緑内障について教えてください。

鈴木先生

人が、目の中の「網膜」に写った映像を脳に伝達するとき、「視神経」という神経を通ります。この視神経が徐々に障害されることで、視野が狭くなってしまうのが緑内障です。

編集部

どうして視神経が障害されてしまうのですか?

鈴木先生

主な原因は眼圧の上昇で、眼圧が高いと視神経が圧迫されてしまうため、視野が欠けた状態を引き起こします。しかし、日本人の緑内障患者さんに限って言うと、約70%は眼圧が正常な「正常眼圧緑内障」だといわれています。

編集部

緑内障の人は多いのですか?

鈴木先生

非常に多くいらっしゃいます。緑内障は加齢と関係が深く、例えば40歳以上だと約5%、つまり20人に1人が緑内障を患っているとされています。そして、この割合は年齢が上がるにつれてますます増加するというデータがあります。

編集部

緑内障が進行すると失明することもあるというのは本当ですか?

鈴木先生

はい。緑内障は、日本人の中途失明原因のトップです。先述のような慢性的に進行する緑内障のほか、突然発症する急性緑内障発作にも注意が必要です。慢性的に進行する緑内障で失明となってしまうのは全体の数%ほどなので、早期に発見し、早期に治療すれば失明に至るリスクは低いと言えるでしょう。なお、急性緑内障発作の場合は、稀になんらかの原因で急激に眼圧が上昇し、目の痛みやかすみ、頭痛や吐き気など症状が出て、放っておくと数日で失明することもあります。

緑内障の初期症状とは? どのように進行していくの?

編集部

では、緑内障の初期症状について教えてください。

鈴木先生

視野自体は狭くならず、視野の中に「暗点」と呼ばれる見えない点ができます。ほとんどの場合、この時点では自分では異常には気づきません。

編集部

そこから進行するとどうなるのですか?

鈴木先生

進行に伴い暗点が拡大し、視野の欠損(見えない範囲)が広がり始めます。視野欠損はわずかな部分から始まり、ゆっくりと進行していくので、この段階でもご自身で気づく方はわずかです。

編集部

視野が欠けても気がつかないことが多いのですか?

鈴木先生

そうなんです。とくに片目だけの場合、視野が欠損していても、欠損していない方の目が補ってくれることが多いため、失明寸前になっても気がつかないというケースもありますので注意が必要です。

編集部

さらに進行するとどうなるのですか?

鈴木先生

鮮明に見える範囲が狭くなっていき、日常生活にも支障をきたすようになります。こうなると気がつく方も多いのですが、この時点で緑内障は末期に分類されます。さらに放置すると失明に至ります。

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