糖尿病黄斑浮腫の治療
糖尿病黄斑浮腫の治療には、ステロイド薬や抗VEGF薬などの薬物療法、レーザー光による網膜光凝固術や硝子体(しょうしたい)手術などによる手術療法があります。これらは糖尿病網膜症の治療方法ともほぼ共通するものです。
それぞれの治療法にはメリットやデメリットが存在します。病状の進行度や患者の全身状態、視力などさまざまな条件を考慮し、適切な治療方法が検討されます。治療効果を上げるため、複数の治療法を組み合わせることもよくあります。
薬物療法
糖尿病黄斑浮腫の薬物療法では主に、ステロイド薬や抗VEGF薬が使われます。
毛細血管周辺の炎症を抑えて症状の改善をはかるステロイド薬に対し、近年になって使われ始めた抗VEGF薬は、むくみを改善する効果が高く、即効性もあるため、黄斑浮腫の治療方法として選択される機会が増えています。
手術療法
糖尿病黄斑浮腫の手術療法では主に、網膜光凝固術というレーザー光を使う手術と、硝子体手術がおこなわれます。
網膜光凝固術では、レーザー光を患部に当てて凝固させ、浮腫の原因となる水分が黄斑部に漏れ出ることを防ぎ、症状の改善を狙います糖尿病網膜症の治療方法としても選択されることが多い治療法で、薬物療法と組み合わせておこなわれることもあります。
硝子体手術は、網膜周辺の治療とともに、出血や増殖組織の除去も同時におこなう治療法です。
黄斑浮腫だけでなく糖尿病網膜症がかなり進行してしまい、他の治療法ではじゅうぶんな効果が期待できない場合の治療法として選択されます。
糖尿病黄斑浮腫になりやすい人・予防の方法
糖尿病黄斑浮腫になりやすい人は、糖尿病を発症している人です。
さらに、糖尿病の合併症として糖尿病網膜症を発症している人は、病状の進行によらず、常に糖尿病黄斑浮腫の発生リスクがあります。
したがって、糖尿病黄斑浮腫の根本的な予防方法は、糖尿病を発症しないようにすることです。ただし、糖尿病を発症していても、医師の指導のもと血糖コントロールなどに努め、糖尿病を進行させないようにすることで、糖尿病網膜症の発症を防ぐ、あるいは発症を遅らせることができます。糖尿病網膜症を予防することは、結果として糖尿病黄斑浮腫の発症予防にもつながります。
糖尿病黄斑浮腫は、早期発見と早期治療によって治療や症状の改善が期待できる疾患です。たとえ自覚症状がなくても、定期的な血液検査や眼科検診を受けることは、有効な予防手段と言えるでしょう。
また、糖尿病をはじめとする生活習慣病は、生活習慣の自己管理により、発症予防や病状の改善につながることが知られています。日常生活の中でバランスのよい食事や適度な運動を常に心がけることが、もっとも基本的な予防手段となるでしょう。
高血圧症
血管新生緑内障
参考文献
公営社団法人日本眼科医会 糖尿病になったら全員失明するの?
厚生労働省 e-ヘルスネット 糖尿病
糖尿病網膜症診療ガイドライン(第1版)第3章 糖尿病網膜症のリスク因子
昭和学士会誌 「VEGF阻害薬による治療」
糖尿病網膜症診療ガイドライン(第1版)第5章 糖尿病網膜症の診断
糖尿病網膜症診療ガイドライン(第1版)第7章 糖尿病網膜症の治療
国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター 網膜症
日本眼科学会 糖尿病網膜症の治療 硝子体手術
国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター 「糖尿病の治療ってどんなものがあるの?」
日本眼科学会 糖尿病網膜症
配信: Medical DOC
関連記事: