骨髄腫の前兆や初期症状について
骨髄腫の主な症状は、以下のように3つに大別されます。
造血機能の抑制による症状
M蛋白の増加による症状
骨破壊による症状
造血機能の抑制による症状
骨髄腫細胞が正常な血液細胞の生成を妨げるため、赤血球や白血球、血小板などの血液細胞が減少します。
赤血球の減少により息切れや動機、疲労感といった貧血の症状が出現し、白血球が減少すると感染症にかかりやすくなります。
また、血小板の減少により止血機能が低下し、血が止まりにくくなる症状を招きます。
M蛋白の増加による症状
正常な機能を欠いたM蛋白が増殖し血中に蓄積することで、過粘稠度症候群という血液がドロドロになる状態を引き起こします。
過粘稠度症候群により血液循環が悪くなり、視覚障害をはじめとするさまざまな症状が出現します。
また、M蛋白はアミロイドという水に溶けない有害なたんぱく質になり、全身のさまざまな臓器に沈着し機能を低下させることもあります。
骨破壊による症状
骨髄腫細胞により骨の破壊が進むと腰背部を中心とした骨の痛みが出現したり、些細なことでも骨折しやすくなったりします。
その他、骨が溶け出すことによる口の渇きや意識障害、便秘などの高カルシウム血症の症状が現れることもあります。
これらの症状の出方や程度は個人差が大きく、なかには症状を自覚しづらい場合もあります。
骨髄腫の検査・診断
骨髄腫を診断するために、以下のような検査をおこないます。
血液検査
尿検査
骨髄検査(骨髄穿刺・骨髄生検)
画像検査(X線検査・CT検査・MRI検査・PET検査)
血液検査
血液検査では、赤血球や白血球、ヘモグロビンや血小板など造血機能に関する項目を調べます。
他にもクレアチニンやアルブミン、カルシウムやM蛋白、免疫グロブリンなど、腎機能の指標になる項目や骨髄腫に関わる項目について検査します。
尿検査
尿検査では、ベンス・ジョーンズ蛋白という尿中のM蛋白の有無を調べます。
通常、ベンス・ジョーンズ蛋白は尿中には検出されませんが、骨髄腫の場合尿中に含まれていることが多く、診断の鍵を握る物質です。
骨髄検査
骨髄検査とは骨髄液または組織を採取し、顕微鏡で観察する検査です。
腸骨へ針を刺して骨髄液を採取する方法と、より太い針を刺して骨髄の組織を採取する方法があります。
採取した骨髄液や組織を顕微鏡で分析することで、悪性細胞の有無や種類など、病気の診断や評価に関わることを調べられます。
より詳細な分析を要する場合、染色体の異常を調べることもできる検査です。
画像検査
骨髄腫における画像検査では、X線検査やCT検査、MRI検査やPET検査を実施します。
X線検査やCT検査、MRI検査では全身的な骨の病変や病的骨折を調べることができます。
この中でもPET検査は骨髄腫の診断に有効な検査です。
ブドウ糖に微量の放射性物質を付加した薬剤を用いて、悪性細胞に薬剤が集まる性質を利用し、骨髄以外の病変も調べることが可能です。
これら複数の検査結果を総合的に判断し、骨髄腫の診断や治療方針の決定をおこないます。
配信: Medical DOC