認知症患者の介護方法
認知症高齢者の方においては、日常生活のできる度合いが以下のような5つの段階に分けられています。
ランクI:何らかの認知症はあるものの、日常生活はほぼ自立しています。
ランクII:日常の生活で少し困ることが出てきますが、誰かが注意してくれていれば自立できている状態です。この段階では、買い物や金銭管理などにミスが目立つようになります。また、服薬管理ができない、電話対応や訪問対応など一人で留守番ができないことがあります。
ランクIII:日常生活に支障をきたすような症状や行動、また、話し合いが困難になり、介護を必要とします。日中もしくは夜間を中心に、着替えや食事、排尿・排便ができなくなったりするといった症状が現れています。
ランクIV:日常生活に支障をきたすような症状や行動、意思疎通の困難さがたびたびみられ、常に介護を必要とします。
ランクM:心の問題や、困った行動が顕著になり、あるいは身体疾患が重篤になり、専門医療を必要とします。
この中で、介護が必要となるのはランクIII、IVが主となります。
そこで、こうした方たちに対する5つの具体的な介護方法を紹介していきます。
安全な環境の確保
認知症患者の自宅を安全に保つためには、危険物を排除し、転倒を防ぐための手すりの設置や滑りにくい床材の使用が必要です。認知症患者を自宅で介護する場合には、自宅のリフォームや、包丁やはさみといった危険物を、取りづらい場所に置いておくなどの工夫をしましょう。
食事の介助
認知症患者は、食べたことを忘れてしまったり、出したものや目に入ったものを次々と食べてしまったりといった過食をしてしまうことがあります。このような行動への対策として、定期的な食事のスケジュールを作成し食事を一定の時間に提供することが一案として挙げられます。また、小分けにして提供することで食べ過ぎないようにするという工夫も考えられます。食事面の介護については、介護を主にする家族などの負担を軽減するため、介護のプロのサポートも助けも借りるようにすると良いでしょう。
治療薬などの内服の介助
認知症患者に対しては、薬物治療が行われることがあります。しかし、内服薬を自分で管理することが難しくなります。
そのため、家族ならびに薬剤師、訪問看護師などが認知症やそれ以外の持病の内服薬の管理をし、内服を介助することが重要となります。
着替えの介助
認知症の方は、同じ服を着続けたり、着替えを出しても嫌がってしまったりすることがあります。また、認知症の症状として、一人で着替えができなくなってしまうこともあります。そうした際には、後方から脱がせないことや、一人で着られるように順序よく衣服を重ねておくこと、さらにできなくて困っている時だけ手伝うようにするというようことを守るようにしましょう。
認知症患者とその家族などへの心理的サポート
患者の感情的ニーズを理解し、安心感を提供するための支援を行います。
その際には、認知症患者の理解力に合わせて、簡潔で分かりやすい言葉を使い、視覚的な手がかりを提供することでコミュニケーションを促進します。
認知症の方の自尊心を尊重し、幼児語を使用したり、こども扱いをしたりしないようにします。また、介護を主に行う家族の健康が認知症の介護においては重要です。介護スタッフなどが、認知症患者ならびにその家族等への心理サポートを同時に行なっていくことが大切です。
「認知症の死の前兆となる末期症状」についてよくある質問
ここまで認知症の死の前兆となる末期症状などを紹介しました。ここでは「認知症の死の前兆となる末期症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
認知症患者の終末期の特徴や症状について教えてください。
石飛 信 医師
認知症患者の終末期には、歩く・座る・食べるなど、多くの身体能力が失われます。そして、排便や排尿のコントロールができなくなる可能性もあります。さらに、会話することはできず、介助が常に必要な状態になることもあります。注意すべきは、感染症、特に肺炎にかかりやすくなってしまうといった特徴ならびに症状があります。
配信: Medical DOC