「境界性パーソナリティ障害」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「境界性パーソナリティ障害」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)

専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医

境界性パーソナリティ障害の概要

境界性パーソナリティ障害(BPD: Borderline Personality Disorder)は、感情の不安定さ、人間関係の不安定さ、自己イメージの不安定さ、衝動的な行動などが特徴的な精神疾患です。

この障害は、日常生活や対人関係において大きな困難を引き起こすことが多く、適切な治療とサポートが必要です。
BPDは、感情の調整が難しく、自己認識や他者との関係において持続的な不安定さを経験することが一般的です。

境界性パーソナリティ障害の原因

BPDの原因は、遺伝的要因と環境要因の両方が関与しています。
遺伝的要因としては、家族に精神疾患がある場合、その子どもがBPDを発症するリスクが高いことが示されています。
環境要因としては、幼少期の虐待やネグレクト、家庭内の不安定な環境などがBPDの発症に寄与することがあります。

遺伝的要因

遺伝的要因として、BPDは家族内で遺伝する可能性があることが示されています。
親や兄弟姉妹にBPDやほかの精神疾患がある場合、その子どもがBPDを発症するリスクが高まります。

脳の化学物質の問題

BPDの多くの患者さんは、脳内の神経伝達物質、特にセロトニンに問題があると考えられています。
セロトニンの異常なレベルは、うつ病、攻撃性、破壊的な衝動の制御困難と関連しています。

脳の発達の問題

MRI研究により、BPD患者さんの脳の一部が予想よりも小さいか、異常な活動レベルを示すことが明らかになっています。

これらの部分には、感情の調整に重要な役割を果たす扁桃体、行動と自己制御を調整する海馬、計画と意思決定に関与する眼窩前頭皮質が含まれます。

環境要因

BPDの患者さんには、以下のような環境要因が共通して見られます。

感情的、身体的、性的虐待の被害者であること

子どもの頃に長期間の恐怖や苦痛にさらされたこと

両親のいずれかまたは両方からのネグレクト

双極性障害やアルコール・薬物乱用問題を抱える家族と共に育ったこと

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