夜間頻尿の治療
診断により特定された原因それぞれに対して治療が行われます。
夜間頻尿に対する治療について、多尿・夜間多尿、膀胱蓄尿障害、睡眠障害の3つの原因に対応した治療を紹介します。
多尿・夜間多尿
まず第一選択として、非薬物療法である飲水指導、運動療法、減塩指導などが行われます。
夜間の飲水過多、アルコール、カフェインの摂取は、夜間多尿を引き起こす因子です。
飲水指導では、これらを避けるよう指導します。
特に飲水過多が原因となる場合、飲水指導は有効です。
1日に尿量20〜25mL/kg(体重)となるよう飲水量を調整することが推奨されています。
運動療法では、夕方あるいは夜間における運動により、間質にたまっている水分を汗として排出する効果が期待できます。
推奨される運動は、散歩やダンベル運動、スクワットなどです。
減塩指導は、塩分過剰摂取がある患者さんに行われます。
夜間多尿の改善には、どの程度1日食塩摂取量を減らすべきかは明確ではありません。
しかし、減塩により夜間頻尿の軽減が期待されるため、目標値として6g/日未満が推奨されています。
薬物療法としては、男性の夜間多尿に対してデスモプレシンが保険適用となっています。
膀胱蓄尿障害
膀胱蓄尿障害の治療は、原因と症状に応じて薬物療法が行われ、場合によっては手術も含まれます。
過活動膀胱と前立腺肥大症は、どちらも頻度の高い膀胱蓄尿障害です。
過活動膀胱では、抗コリン薬、β3アドレナリン受容体作動薬による治療が有効とされています。
前立腺肥大症では、α1アドレナリン受容体遮断薬、ホスホジエステラーゼ5阻害薬、5α還元酵素阻害薬による治療が有効です。
睡眠障害
まずは非薬物療法から開始し、必要に応じて薬物療法を行います。
非薬物療法として、よく眠れるような環境の整備や生活リズムの改善も重要です。
薬物療法としては、不眠の症状によって睡眠薬を使い分けることが重要とされています。
夜間頻尿になりやすい人・予防の方法
夜間頻尿の頻度は、男女どちらも年齢とともに急上昇します。
加齢以外のリスク因子としては、以下があげられます。
高血圧
糖尿病
脳血管障害
利尿薬の利用
心疾患
腎泌尿器疾患
肥満
睡眠障害
加齢が関連する疾患も多く、夜間頻尿において年齢による影響が大きいことがわかります。
夜間頻尿の予防として、生活習慣の改善があげられます。
推奨される具体的な生活指導の内容は、以下のとおりです。
就寝前の飲水を控える
就寝前3〜4時間のアルコールやカフェイン類は避ける
就寝前1時間、中途覚醒時の喫煙は避ける
就寝1時間前から部屋の照明は暗くして、音楽、香りなどリラックスできるような環境を作る
昼間に光を浴びる
朝一定の時間に起床する
規則正しい食事習慣
入床1〜2時間前に入浴する
昼食後に約30分の昼寝をする
夕方に軽い運動を行う
上記の習慣をできる限り実行することで、夜間頻尿の予防や改善につながる可能性があります。
関連する病気
前立腺肥大症(良性前立腺肥大)
参考文献
日本泌尿器科学会夜間頻尿診療ガイドライン[第2版]
日本泌尿器科学会「夜間、何度も排尿で起きる」
配信: Medical DOC
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