数ある防災グッズのなかでも、「ポータブル電源」はここ数年で一気に売れ行きが伸びているそうです。停電時でも電源の供給ができる安心感はもちろん、アウトドアブームの影響もあり、高額商品ながらも人気が高まっているようです。今回は初心者の方にお薦めのモデルを中心に、その利便性と持っておくべき理由を紹介します。
「ポータブル電源」とは?
ポータブル電源とは、貯(た)めた電気を持ち運んで使える大容量バッテリーのことです。「モバイルバッテリーとなにが違うの?」と思われる方も多いと思いますが、ポータブル電源はモバイルバッテリーの大容量版だと言っても間違いではありません。
とはいえ、単に容量が大きいだけでなく、出力の大きさや搭載する出力端子にも違いがあります。
モバイルバッテリーの多くは、パソコンやスマートフォン用のUSBしか接続できませんが、ポータブル電源はコンセントを接続できるAC出力が備わっています。よって、パソコンや扇風機、冷蔵庫といった、モバイルバッテリーでは駆動できない家電製品が使えるのが特徴です。万が一の停電のときに、スマホなどの充電はもちろん、身の回りの家電も使えるというのは大変心強いものです。
なおポータブル電源本体への充電は、ACコンセントか車のシガーソケットを経由するのが一般的です。フル充電にかかる時間はモデルによって3.5~8時間程度と異なりますが、半日ほどの充電時間が必要だと考えておくとよいでしょう。オプションでソーラー充電できるパーツが販売されているので、防災対策として考える場合、あわせて購入するのもお勧めです。
ポータブル電源のチェックポイント
ポータブル電源を選ぶときのチェックポイントは、「バッテリー容量」「出力端子の種類や数」です。もちろんポータブルである以上、携帯性、すなわち重さと形状は要チェックでしょう。
ポータブル電源のバッテリー容量は、Wh(ワットアワー)という単位で表記します。これは1時間あたりに消費できる電力のことです。例えば「電気毛布を中モード(消費電力40w)で10時間使うのであれば、400Wh以上の容量のモデルが必要」という具合です。
ポータブル電源のおおよその価格帯は2万円前後から10万円以上と幅がありますが、価格によって大きく変わるのはこのバッテリーの容量です。例えば容量1300Wh以上のハイエンドモデルであればホットカーペットやドライヤーなど消費電力の大きい家電も使えるようになりますが、価格も高額です。週末のキャンプやアウトドアレジャー、また防災用に購入するのであれば、容量500Wh前後を目安と考えていいでしょう。
また「出力端子の種類や数」も検討する時のポイントとなります。先に述べたようにほとんどのポータブル電源にはUSB出力とAC出力が備わっていますが、USBの「Type-A」「Type-C」両方に対応するものや、ワイヤレスチャージができるものなどもあります。また出力端子の数が多ければその分多くの機器を同時に充電できます。
まずは自分がポータブル電源を使用するシーンや場所、つなげる家電をリストアップしておくとよいでしょう。使いたい家電のスペックを考えることで、自分や家族に最適なポータブル電源が導き出せるというわけです。
以上を踏まえ、推奨モデルを具体的にお伝えします。
初心者におすすめ!LACITAの「ENERBOX-01」
ここ数年でポータブル電源の選択肢は増えました。ネットで検索すると聞いたことのないメーカーの製品がヒットしますが、保証も修理対応もしっかりしている日本のメーカー製品がお薦めです。
なかでもLACITA(ラ・チタ)の「ENERBOX(エナーボックス)-01」(税込み59,800円、編集部調べ)は、小型で携帯性にも優れています。
電気容量は444Wh、AC出力は400W。スマホの充電なら約30回、電気毛布(中モード、消費電力40w)なら約10時間、電気ケトルなら約7回使える容量で、災害時にもアウトドアにも活躍します。
フル充電に必要な時間は約7時間です(ACアダプター使用時)。
ポータブル電源には、重量が10kg前後と持ち運びにはやや重いモデルもあります。しかし「ENERBOX-01」は重量5kg、本体サイズも幅303mm×高さ184mm×奥行134mmと比較的コンパクトです。上の写真のように女性でも片手で持ち運びができます。
停電になったときでも、必要な部屋に手軽に持ち運ぶことができるので、つなげたい家電の近くに持っていって使うことが可能。避難所などへ行くことになったときでも、このサイズ感なら持ち運びもそこまで苦になりません。
収納ボックスに収まるサイズのため、レジャー用途としても使い勝手が良いです。
出力はACが3口、USB-A端子が3口あります。USBはスマホや携帯ゲーム機に、ACは家電などで計6台を同時につなぐことができます。アウトドアレジャーのときも家族で電源を取り合う心配はありません。災害時にもさまざまな用途に使えるはずです。
リモートワークが増えた昨今では、ノートパソコンの電源としても活躍します。筆者もリビングで仕事する際、今までは延長コードを使わなければならないのが煩わしかったのですが、ポータブル電源を導入したことでスッキリ解決しました。
配信: 防災ニッポン