写真説明:今回使用した防災リュックとその中身。乳幼児や幼い子供がいるとさらに荷物が重くなります。
入れる順番を変えると防災リュックは軽く感じるか?
災害時、重い防災リュックを背負って走ることは難しいですよね。実際に防災リュックの重さを確かめたことがある人はどのくらいいるでしょうか? 災害がいつ起こるかわからない中、防災リュックの中身の詰め方を工夫するだけで、感じる重さを少しでも軽減することができたらうれしいですよね。
そこで、防災リュックの中身を入れる順番によって、重さの感じ方が変わるのかどうか検証することにしました。重いものを下に入れた場合・軽いものを下に入れた場合・重いものを背面に入れた場合の3パターンを比較しました。
防災リュックに詰めるもの
まず非常食(4日分)と水500mlを5本用意しました。避難生活ではずっと同じ服を着ていると汗が冷えて風邪をひいたり少しにおいが気になったりすることもあると思い、トレーナーとジーパンも用意しました。
このほか、27品目を入れました。これをまず、重いモノ、中くらいの重さのモノ、軽いモノ、小物類に分けました。
<重いモノ>
非常食(4日分)や水、トレーナー、ジーパン
<中くらいの重さのモノ>
ラジオ・災害用携帯トイレ・冷熱遮断アルミシート・水に流せるティッシュ・軍手・笛・ポンチョ・トラベル用圧縮袋・非常用給水バック・タオル・防災マニュアル・ノート
<軽いモノ>
生理用品・ライト・スマホ対応ダイナモチャージングラジオライト
<小物類>
マスク・歯ブラシ・歯磨きペースト・消毒液・ビニール袋・ボールペン・電池・笛・5年保証ウェットティッシュ・エイドチーム(応急処置)・電池(単3)10本・ビニール袋
写真説明:重いものを「C」、中くらいの重さのものを「B」、軽いものを「A」に入れます
重いものを下に入れた場合
最初に、重いモノとして非常食や水、トレーナーなどを入れました。
次に中くらいの重さのラジオや非常用給水バッグ、災害用携帯トイレなどを入れま
した。
最後に軽いモノとしてライトや生理用品を入れました。
リュックの前ポケットには、マスクや歯ブラシ、ウェットティッシュなどの小物類を入れました。
軽いものを下に入れた場合
最初にライトや生理用品などの軽いモノを入れました。
次に冷熱遮断アルミシートや災害用携帯トイレ、タオルなどの重さが中くらいのモノを入れました。
そしてトレーナーや水、非常食などの重いモノを入れました。
最後にリュックの前ポケットに歯ブラシ、ビニール袋、ボールペン、電池などを入れました。
重いモノを背面に入れた場合
最初に軽いモノを入れました。
次に、中くらいの重さの冷熱遮断シートなどを入れました。
その後、冷熱遮断アルミシートの背面に、重い非常食と水を縦に差し込みました。
その上にトレーナー、ジーパンを入れました。
最後にリュックの前ポケットにビニール袋、ボールペン、電池、笛、ウェットティッシュ、エイドチーム(応急処置)などを入れました。
検証
重いものを下に入れた場合
重心が下になるため、「ずしっ」とした重みがありました。後ろに引っ張られている感覚があり、女性は特に腰に負担がかかると感じました。走ったり、長時間背負って歩いたりすることは男性でも大変だと思いました。
軽いものを下に入れた場合
重いものを下に入れる場合に比べると、軽いものを下に入れた場合の方が肩の下あたりに重心が移動する感じがあり、軽く感じました。しかし劇的な変化があったわけではなく、走って逃げるのは大変だと感じました。
重いものを背面に入れた場合
一番軽いと感じたのは重いものを背面に入れたときです。重いものを下に入れた時と、軽いものを下に入れた時は重たくて少し腰が曲がってしまいましたが、背面に重いものを入れた時は真っ直ぐ立って歩くことができました。
検証を通して
このパッキング法は、登山のリュックの詰め方を参考に試してみました。けれども、登山家に話を伺ったところ、「山登りと防災準備では、詰め込むモノが違ううえ、取り出して使う状況も違うので、同じ詰め方が良いとは言い切れない」というご指摘をいただきました。確かに、緊急時に必要なものは取り出しやすい位置に入れるなどの工夫が必要かもしれません。
ただ、検証してみて、防災リュックの詰め方によって、本当に重さの感じ方が変わることに驚きました。皆さんもぜひ、実際に入れ方を変えて背負ってみて、重さの感じ方の違いを確認してみてください!
<執筆者>
宮﨑希明 石川綾捺
配信: 防災ニッポン
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