粉瘤の治療
ここからは粉瘤の治療方法についてご紹介します。あらかじめ治療の種類や流れを知っておくことで、どの方法が自分に合っているかを判別できたり、不安なことやわからないことについて治療前に医師に相談できたりするため、ぜひ参考にしてください。
粉瘤の治療法の種類
粉瘤の治療には2種類の方法があります。
1つ目は「くり抜き法」です。くり抜き法は、専用の機械で患部に小さく穴を開けてから内容物を絞り出した後に、粉瘤の原因となっている袋を取り出すという方法で、後述するメスによる手術に比べると手術時間が短く、傷跡も小さく済みます。クリニックによっては炎症を起こしている粉瘤に対してもくり抜き法によって手術を実施しているところがあり、腫れや痛みといった症状に悩んでいる方でも治療を受けられる場合があります。
2つ目の方法は「切開法」と言い、メスを用いて患部を切開し粉瘤を摘出する方法です。粉瘤のサイズが大きかったり、患部の皮膚が分厚かったりする場合は切開法が採用されます。くり抜き法よりも傷跡が大きくなること、炎症が起きている時は手術ができないことがデメリットとして挙げられますが、粉瘤が再発しにくく、対応できる医療機関が多いという点がメリットです。
手術について
くり抜き法・切開法について、それぞれの手術の流れや手術にかかる時間、手術の際の注意事項、費用などについてご紹介します。
粉瘤の手術の流れ
まずはくり抜き法の流れを説明していきます。くり抜き法は手術前にペンで患部にマーキングします。その後に局所麻酔を注射し、麻酔が効いたら特殊な機械で粉瘤に1~5mm程度の小さな穴を空けます。穴から内容物を揉み出して粉瘤の袋を空にしたら、ピンセットなどの器具を使って取り残しのないように袋を丁寧に抜き取っていきます。最後に、袋の成分が残っていないか、内部が正常組織のみになっているかを確認したうえで縫合します。患部の状態によっては縫合をしない場合もありますが、傷跡が小さいため問題なく過ごすことができます。続いて切開法についてです。切開法もくり抜き法と同様に、粉瘤にマーキングをします。併せて切開ラインもデザインし、患部に局所麻酔を施します。麻酔が効いたらメスで皮膚を切開し、粉瘤を袋ごと剥がして摘出します。しっかりと止血をして切開部を縫い合わせたら手術は完了となります。
粉瘤の手術にかかる時間
癒着具合や粉瘤の大きさによって差はありますが、手術にかかる時間は5分~30分ほどです。麻酔をするため痛みはほとんどなく、手術が終わった後に強い痛みを感じるといったことも少ないです。
手術の際の注意事項
手術後はシャワーであれば当日から入ることができます。運動や入浴、過度な飲酒は血流が良くなって出血しやすくなるため控えるようにしましょう。また、術後は患部に盛り上がりや硬さを感じるかもしれませんが、傷口を修復する反応のため触ったり揉んだりしないようにしてください。3カ月ほどたつとこれらの症状は少しずつ治まります。患部に赤みが見られることもあります。こちらも傷を治すための自然な現象のため、心配ありません。1~3カ月ほどで元の肌の色に戻っていくでしょう。
手術の費用
手術にかかる費用は、粉瘤の大きさや位置、保険診療における自己負担率(1割~3割)などによって変わります。さらに、診察料や処方料、初診料、検査費用などが加算される場合があるため、だいたいの目安をお伝えします。保険の自己負担率が3割の場合、粉瘤が小さければ5000円前後、大きければ1万円前後が相場となっています。かなり大きい粉瘤だと2万円ほどかかる場合もあるため、費用について治療を受ける前に事前に確認しておくことをおすすめします。
粉瘤ができやすい人
ここまでは粉瘤の特徴や代表的な治療方法についてご紹介しました。では、粉瘤ができやすい人というのはどんな人なのでしょうか。粉瘤ができやすい人の特徴や予防法について見ていきましょう。
粉瘤ができやすい人の特徴
本来であれば、皮脂や角質は皮膚のターンオーバーによって剥がれ落ちますが、それがたまってしまうことで粉瘤が生じます。角質や皮脂がたまってしまう原因としては、ホルモンバランスが乱れている、汗をかきやすいといった点が挙げられます。そのため、スポーツをしている方や仕事などで忙しくされている方、食事・睡眠などが十分に取れていない方などが粉瘤を発症するケースが多いようです。また、性別で見ると、女性よりも男性のほうが粉瘤ができやすい傾向にあります。
粉瘤ができやすい人の予防法
粉瘤は発生原因がはっきりしていないため、これといった予防法はありません。しかし、皮膚のターンオーバーやホルモンバランスの乱れが粉瘤につながるということがわかっていることから、栄養バランスを重視した食生活を送る、睡眠時間を十分に確保する、適度な運動をするといった生活習慣の改善は非常に有効的です。また、肌を清潔に保つ・刺激をできるだけ与えないようにするなど、肌をより良い状態に保っておくことに越したことはありません。
特に、外毛根鞘嚢腫は毛穴の詰まりによって生じるため、日頃からスキンケアに力を入れておくことが大切です。さらに、粉瘤はいじったりこすったりすると炎症を起こしてしまう可能性があります。炎症が起こると痛みが出るだけでなく、治療が長引いたり傷跡が大きくなったりするため、気になるかもしれませんができるだけ触らないようにして、早めに医療機関を受診すれば、重症化を防ぐことができます。
配信: Medical DOC