小学校担任と良好な関係を築きたい! 心得ておきたい親のスタンスとは?

第3回 子どもの小学校担任との上手な付き合い方
小学校に入学するまでは、学校全体の評判やブランド力などを気にしがちです。しかし、子どもが学校に通い始めると、じつは学校自体よりも、毎日接する担任教師との相性の方が、よっぽど重要だと気づかされるという親も多いのではないでしょうか?

子どもの成長に大きく関わる存在の担任ですが、どんな先生だったとしても、子どものためを思えば、良好な関係を築くことを意識したいもの。そこで、東京学芸大学附属世田谷小学校の教師であり、子どもたちのやる気を引き出すユニークな授業をすることでも知られる沼田晶弘先生に、担任との上手な向き合い方について聞きました。

●“自分の子は特別”はどの親も思っていることである

まず、担任教師との良い関係を目指すうえで、大前提として親が理解しておくべきは、小学校という集団生活の場において、“我が子は特別”との考えは通用しないということ。

「学校や担任がお子さんを大事に思っていることに変わりはありません。ただし、親御さんにとってお子さんがプリンス・プリンセスだったとしても、学校はそのプリンス・プリンセスの集まりです。大事ではありますが、特別ではありません。よく劇の主役や運動会のリレー選抜で、こんなに練習したのになんで選ばれないのかと、抗議される親御さんもいらっしゃると聞きます。でも、選ばれるお子さんはみんなすごく練習しているんです」(沼田先生、以下同)

どの親も子どもは特別です。しかし、担任にも同じように特別な存在として扱ってほしいという期待を押し付けてしまっては、双方ともにストレスを感じてしまいます。

「ただ、ほとんどの親御さんは、“我が子が特別扱いされなかったこと”ではなく、たとえば何かの係りに選ばれるにあたっても、どんなふうに決めているのか分からないので、疑問が積み重なってしまうのかなと思います。もちろん、学年通信などでお知らせしているとは思いますが、よく分からないことは担任の先生に聞いてみるといいと思います」

小学校担任と良好な関係を築きたい! 心得ておきたい親のスタンスとは?

●担任教師と良好な関係を築くために必要な考え方とは?

ただし、「どうやって伝えるか」を考えることも大事だと沼田先生。

「たとえば連絡帳で、『子どもが劇で主役に選ばれなくて落ち込んでいるんですが、どうやって選ばれたのか教えてもらえますか?』とか、『(母親として)こんなことを不安に思っているんですけど、先生も気にかけてもらっていいですか?』と書いて、まずは担任の考えを聞くといいと思います。一方、『なんで、選ばれないのか理解できません』『なんで気づいてくれないんですか?』と言ってしまうと、担任教師も困ってしまいます。なぜなら、選び方や学年の運営などは、学年の先生方と話し合って進めていますので、一人で判断できることには限りがあるのです」

また、担任を“理解”“共感”することも、良好な関係を築くうえでは、大切なポイントだといいます。

「担任の先生をどこまで信頼できるかも大事だと思います。たとえば、多くの親御さんは、子どもを比較するときに、クラスを“オールスター”で捉えがちです。頭がいいのはAくん、スポーツができるのはBくん、子どもだってそこと比較されると苦しいですよね? 先生に対してもそうかもしれません。あの先生は教え方が上手、この先生は生徒から好かれるとか、オールスターとして考えると、不満ばかりになってしまうはず。とくに、先生は“パーフェクトヒューマンじゃないとダメだ”と思って頑張ろうとしている人が多いので、やみくもに比較せずに、ある程度今の担任を信じて、任せることも大事なのではないでしょうか」

確かに、生徒の親から頭ごなしに否定されたり、他の担任教師と比べられたりするのは辛いものです。教師とはいえ、同じ人間。理解し共感しながらも、言うべきときは言うことで、良好な関係が築けるのかもしれません。

(取材・文=末吉陽子/やじろべえ)

お話をお聞きした人

沼田晶弘
沼田晶弘
国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校
1975年東京生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、スポーツ経営学の修士を修了後、同大学職員などを経て、2006年から東京学芸大学附属世田谷小学校へ。児童の自主性・自立性を引き出す斬新でユニークな授業が話題に。教育関係のイベント企画を多数実施するほか、企業向けに「信頼関係構築プログラム」などの講演も精力的に行っている。
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