「白内障」になるとどんな「見え方」になるかご存知ですか?セルフチェック法も解説!

「白内障」になるとどんな「見え方」になるかご存知ですか?セルフチェック法も解説!

白内障と聞いて、高齢の方がなる病気で自分には関係ないと思っている方も少なくないでしょう。白内障は、水晶体が濁ることで、視力低下や見えにくさが現れる病気です。

遺伝・性別・紫外線など多くの因子が重なり合うことで発症し、加齢も1つの因子です。年齢を重ねるごとに発症率が上がります。

この記事では白内障の見え方・症状・治療法・術後の見え方などを紹介しています。気になる症状がある方は、記事にあるセルフチェックを行い、当てはまる際には早期に眼科を受診しましょう。

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監修医師:
柳 靖雄(医師)

東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。

白内障の見え方・症状

白内障の見え方・症状について教えてください。

白内障の主な症状は、明るい所でまぶしく感じる・二重に見える・かすんで見える・暗い所で見えにくいなどです。白内障になると水晶体の中で古い組織が溜まっていき、水晶体自体の厚みが増すため、一時的に近眼になります。進行を放置していると失明する場合があるため、異常を感じたら早急に対応しましょう。

白内障とはどのような病気ですか?

眼球の水晶体が濁る病気です。水晶体が濁ることで、光が通りにくくなるため、視力低下やかすんで見えるようになります。白内障は、加齢による影響を強く受けやすい病気です。初期の水晶体の混濁率は、年齢とともに上昇します。50代では37〜54%、60代では66〜83%です。70代は84〜97%となっています。

白内障の原因を教えてください。

白内障には多くの原因が考えられ、先天性と後天性の原因があります。先天性の原因は、遺伝性疾患・子宮内感染・代謝疾患などです。ダウン症や妊娠初期の風疹感染による影響などが挙げられます。後天性には、加齢・性別・遺伝・喫煙・紫外線・ステロイド・全身疾患などの影響が考えられます。

セルフチェックの方法を教えてください。

以下の11の質問に答えることで、セルフチェックが行えます。

目が見えにくく、不自由を感じる

片目ずつで見ると、左右の見え方の差が大きい

明るい場所や日差しが強い場所にいると、とてもまぶしく感じる

目がかすんで疲れやすい

視界が薄暗く感じる

片目で見た際に物が二重・三重に見える

近くの物が見えやすくなった

眼鏡を替えても見にくい

自動車の免許更新ができなかった

見え方に異常はあるが、目の痛みや充血はない

50歳以上である

以上の質問で2〜3つ以上該当する場合、白内障の可能性があります。早めに眼科を受診しましょう。

白内障の治療法・術後の見え方

白内障の検査方法について教えてください。

主に行う検査は、視力検査や細隙灯顕微鏡を使った検査です。目の状態によっては屈折検査・眼底検査・眼圧検査なども行う場合があります。白内障が進行すると視力が低下するため、視力検査が行われます。細隙灯顕微鏡検査は、目に光を当てて白内障の有無や状態、進行状況を調べる検査です。細隙灯顕微鏡は細隙灯と呼ばれる顕微鏡で、水晶体を観察します。屈折検査は、遠くと近くの見え方を調べる検査です。眼底検査では眼圧の状態を調べます。一般的に眼圧は10〜21mmHgです。ただし、白内障が極度に進行している場合には眼圧が高くなることがあるため、眼痛や頭痛などが起こりえます。眼底検査は、眼底鏡や眼底カメラで目の血管や網膜、視神経を調べる検査です。眼圧検査や眼底検査は、白内障以外の合併症がないかどうかを調べるために行われます。

白内障の治療はどのように行いますか?

白内障の進行状況に応じて、薬物療法や手術が行われます。初期の状態であれば、進行を遅らせるために点眼薬を用いることが多いです。ただし、濁った水晶体がもとに戻るわけではありません。手術では、濁った水晶体を人工的なレンズに替えることで、視力や見えやすさを改善させます。手術は、眼に2〜3mm程の切り込みをいれ、そこから濁った水晶体を超音波で破砕して吸引します。吸引したら水晶体を覆っている水晶体嚢と呼ばれる膜のなかに眼内レンズを入れて終了です。ただし、水晶体嚢の支えが弱い眼や進行している白内障では、別の手術方法が選択されるでしょう。

術後の見え方はどのようになりますか?

術後、青っぽく見えることがあります。この状態に大きな問題はなく、慣れるまで時間が必要です。若年の患者さんでは、黄色がかって見えるケースもあります。また、手術で入れる眼内レンズによって見え方は変わるため、レンズの特徴を把握して選びましょう。眼内レンズは、大きく分けて単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの2種類です。単焦点眼内レンズは、白内障の患者さんの9割程が付けているレンズです。1箇所にピントが合うため、遠くを見る際には近くがぼやけて見えます。そのため、ピントが合っていない距離を見る際には、眼鏡が必要になります。一方の多焦点眼内レンズは、複数の箇所にピントが合うように作られたレンズのため、単焦点眼内レンズよりも眼鏡の必要性が減るでしょう。ただし、見え方の質は単焦点眼内レンズよりも低下します。夜間の車のライトやネオンが、光の周囲に輪がかかったように見えたり、花火のように見えたりします。時間の経過とともに慣れていきますが、気になる方もいるため、医師と相談して決めましょう。

合併症のリスクについて教えてください。

術後早くに現れる可能性がある合併症は、虹彩炎・角膜浮腫・眼圧上昇などです。術後1〜2年程すると、後発白内障を発症する場合があります。虹彩炎は、目に入る光の量を調整している虹彩に起きる炎症です。点眼薬や局所注射での治療が行われます。角膜浮腫は、黒目にあたる角膜に水が溜まる病気です。治療は、高張食塩水の点眼や軟膏、ソフトコンタクトレンズの装用で経過をみます。それでも痛みがひかない場合には、角膜移植が行われます。白内障の術後の眼圧上昇は、一過性のことが多く、徐々に正常に戻るでしょう。しかし、なかには眼圧が戻らず、続発性緑内障になる可能性もあります。眼圧上昇には、内服や点滴、緑内障の点眼などで対応します。後発白内障は、術後に水晶体を包んでいる袋の後ろ側が濁る現象です。術後早くに生じるケースもありますが、5年で20%程は生じるともされています。糖尿病やアトピー性皮膚炎、先天白内障などを合併していると、後発白内障の発症率も高くなります。治療はレーザーで行うので、痛みも少なく短時間で終わるでしょう。

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