【学生が調べた防災】世界を驚かせた台湾の被災者支援!支えた民間団体に成功の秘訣を聞きました


写真説明:地震発生後、迅速に間仕切りが設置されるなど受け入れ態勢が整えられた台湾東部・花蓮の避難所(2024年4月4日)=大原一郎撮影

2024年4月3日、台湾の花蓮市で震度6弱の強い地震が発生しました。この時、発生からわずか2時間後には、プライバシーを確保するテントが避難所の中に並び、その光景は日本だけでなく世界を驚かせました。新聞記事によると、このテントは台湾の民間団体「台湾仏教慈済慈善事業基金会」が設置したとのこと。その分会が日本にもあると知り、その団体に話を聞いてきました。

台湾仏教慈済慈善事業基金会とは?

話をしてくれたのは、東京・新宿にある台湾仏教慈済慈善事業基金会日本分会の小野雅子さんです。台湾仏教慈済慈善事業基金会は、国際的に支援活動を行うNGO団体です。台湾の花蓮県で尼僧である證嚴(しょうげん)法師が1966年にたち上げた「仏教克難慈済功徳会」がもとになってできたボランティア団体で、台湾では慈済(ツーチー)の略称で広く親しまれています。

小野さんによると、会の活動は30名の主婦が1日50セントを貯金し、貯めたお金で貧しい人々を助けることから始まりました。それが多くの人の心を動かし、やがて多くの人が慈済に加わって人を助けるようになりました。現在、68の国と地域に拠点を持ち、136の国と地域で支援を行っているそうです。慈済は仏教の慈善団体ですが、国籍や宗教を問わずボランティア活動をしています。

災害時の避難所をより快適に

折りたたみベッドの開発

慈済は自らが避難所のグッズを開発しています。そのきっかけは、2010年のパキスタン大洪水での救援活動でした。赤ちゃんが仮設テントの中で寝かされていましたが、雨が降ると屋根からの雨漏りで地面が水浸しになり、赤ちゃんは泥だらけの地面の上で寝ている状況でした。この光景を目の当たりした證嚴法師の発案で、折りたたみ式ベッドの開発が始まりました。


写真説明:プライバシーテントの内部に設置した折りたたみベッドと毛布と机と椅子

プライバシーテントの開発

テントの必要性を痛感したのは、2018年に台湾の花蓮地震の時だそうです。被災者個人のスペースは簡易ベッドの上だけで、着替えをするにも、人目を遮るものは何もありませんでした。「避難生活ではプライバシーを守る空間が大切」と、テントの開発に取り組みました。

テントで仕切られる空間は縦横ともに2.45mで、折りたたみベッド2台と子どもが勉強できるような机と椅子を置くことができます。荷物を入れるキャビネットや毛布、蚊帳も作られるようになりました。

驚いたのは、慈済が、プラスチックをリサイクルしてこれらの避難用具を作っていることです。プライバシーテントは280本のペットボトルから作られ、簡易ベッドとテーブルはPP(ポリプロピレン)素材で製造されています。PPリサイクル原料には、電子工場の基板用ソケット、PPプラスチック製カップ、日用品の廃棄プラスチックが使用されているそうです。

写真説明:ペットボトルから再生したプラスチックと糸(右端)、 毛布(奥)

新宿にある日本分会にもこれらの避難道具一式があり、テントの中に入らせてもらいました。 入ってみると、大人2人と子ども2人が避難するのにちょうど良いサイズ。落ち着いた青い色合いのおかげで、安全で心地よい雰囲気が感じられました。


写真説明:台湾の地震の時に使われたプライバシーテント


写真説明:プライバシーテントを専用収納バッグに入れた時。コンパクトにたためる

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