●講演会には今年3月に再審公判を控える前川彰司さんの姿も
今回の講演会には、1986年に福井県福井市で起きた女子中学生殺害事件をめぐって、昨年10月に名古屋高裁金沢支部で再審開始決定となった前川彰司さん(59)も参加した。
前川さんは、1986年に福井市で中学3年生の女子中学生を殺害した罪で、福井地裁は無罪判決を言い渡したものの、名古屋高裁金沢支部は懲役7年の逆転有罪判決を宣告。最高裁で有罪判決が確定し、刑務所で服役した。出所後も再審請求に注力し、昨年10月の第二次再審請求で同支部が再審開始決定をした。今年3月に再審公判が行われ、即日結審する予定とされている。
講演会前日には、静岡県浜松市にある袴田さんの自宅を訪れ、来年3月の再審公判を前に、ひで子さんから袴田さんの紺色の帽子をお守りとして貰ったという。そんな帽子をかぶりながら、講演会に登壇した。
「犯人が分からないと、警察は弱い者へ目を向ける。(刑務所生活は)恵みがあった、そう思わないとやっていけないんです。刑事事件には、大なり小なりえん罪の要素を含んでいる。再審法改正を進めていかなければならないと思います」
最後に、同会事務局長の山崎さんが言葉を噛みしめるように「改めて皆さん方の協力に感謝します。本当に長い間、ありがとうございました」と述べ、閉会となった。
●「疑われたら、終生、十字架を背負わなければいけない」
袴田巌さんの隣で常に支え続けている、ひで子さんは、報道陣の取材に対して「再審法も早く改正するなりして、ともかく冤罪被害者が救われるようにならないと」と口にした。
講演会で、前川さんは「えん罪というのは、無罪になると終わるわけではないと。疑われたら、終生、十字架を背負わなければいけない」と話す。この言葉が、えん罪の厳しさを物語っていた。
配信: 弁護士ドットコム