●もっとも大切なことは子どもと心を通わせること
和田さんが重要だと考えているポイントは以下の4つ。
1.一人で子育ても仕事も背負わないコミュニケーションをとること
2.家庭では家事よりも子どもとの時間を最優先にすること
3.自分をいたわる時間を持つこと
4.職場では子どもがいてもいなくても平等なこと
この4つのポイントのうち、最初の3つは、家庭の中でのママの心構えです。仕事を始めようと思っているママたちにとって不安なのは、両立がうまくできるのかということ。
「子どもを大事に思うママの気持ちは変わりません。だからこそ、張り切って一人でなんでもこなそうと思うし、子どもや家族が過ごしやすい場所を保つために、家事を優先してしまい、子どもの心のケアを後まわしにしがちです。ですが、一番大事なのは子どもと心を通わせること。誕生から10年が、子どもの心や能力の土台を作る時期であり、同時にママにとっての子育ての黄金期。互いの人生において、今しかできないことが、親子それぞれに起こる期間でもあります。それを味わわないのはもったいないことです」(和田さん 以下同)
とはいえ、子どもと向き合うのは仕事をするのとは違うエネルギーが必要です。そこで重要になるのが自分ケアなのだとか。
「3つめのポイントに自分をいたわる時間をあげたのはそのためです。仕事と子育てを切り替えるため、誰のものでもない一人の時間をほんの少しでも作ること。それが“自分をいたわる時間”。ママの心をリラックスさせる時間を作ると、次にどんな行動をする場合でも、落ち着いて円滑に進めることができます」
●職場では謙虚な一面も必要
1~3つめまでが、家庭内や自分自身に関するポイントだったのに対して、4つめのポイントは職場内での心構えになるといいます。
「職場には自分と同じ立場の人たちだけが集まっているわけではありません。けれど、ママになるとホルモンの関係や防衛本能がすごく出ることにより、どうしても子どもを守りたいという思考から、日頃“子どもの話”が中心になりやすいです。トラブルがあったときも“子どもがいるからしょうがないじゃない”、“子どもなんだから仕方ないよ”という態度を出してしまいがちです。職場には子どもを持つ人も持たない人もいるので、“ご迷惑おかけしています”という謝罪と感謝の気持ちを相手に表す謙虚な気持ちが大事です」
本当は社会人の前にママであり一人の人間なのですが、職場によっては人間性よりも結果を重視する場合があります。ストレスを避けるためにも、働く目的を今一度確認しておきましょう。その組織の存在目的(会社ならば営利目的)や自分の役割などを意識する社会人としての視点を忘れないことが大事です。
勤務時間中は精一杯ビジネスパーソンとして、仕事をするという心構えでいることがコミュニケーションを円滑にし、仕事がしやすくなる第一歩なのかもしれません。
(文・吉田紀子)