なぜ夜になると、咳が出るのか。慶友銀座クリニックの大場俊彦院長は次のように説明する。
「夜は『気道過敏性』といって、気管支や気道が過敏になりやすい傾向があります。原因は明らかになっていませんが、アレルギーも夜になると起こりやすい傾向があり、ぜんそくや鼻炎、鼻水なども夜に悪化することが多いです」(大場院長 以下同)
また、仰向けで寝る人の場合、鼻水が喉のほうにまわりやすく、咳き込む原因になることがある。さらに、口を開けて寝ることで、のどが乾燥してしまったり、痰や鼻水が気管支にまわりこんで、むせたりする原因になることもあるそうだ。
●痰(たん)をうまく出せない子どもは咳で吐きやすい
では、大人に比べて、子どもの場合、咳をしすぎて吐いてしまうことがあるのはなぜ?
「子どもは大人に比べると免疫がまだできあがっておらず、気道粘膜も弱く、鼻をうまくかめないうえに頭部や胸部の骨格も未熟。ゆえに、鼻水や痰(たん)をうまく出せないということがあります。特に子どもは大人のように痰(たん)だけ出すことはできずに、咳と一緒に吐くことで痰(たん)を出そうとします」
のどに入り込んだ空気中のウイルスやほこりを体内に侵入させないよう、粘液でからめとったものが「痰(たん)」であり、痰(たん)を出すことも咳の役割のひとつという。しかし、子どもの場合、器官が未発達なために、意図的に痰(たん)を出すことができず、咳で痰を出そうとする傾向が強くなるようだ。
「このように、子どもが吐いたときには、痰(たん)を出そうとした結果ということもありますし、胃など消化器が悪く、気持ち悪くて吐くということもあります」
●嘔吐の原因の見分け方はあるの?
では、痰(たん)を出そうとして吐いてしまったのか、そうでないかの、見分け方とは?
「咳き込んで吐く場合は、痰(たん)を出すために吐いていると思われ、吐物がどろっとしています。一方、消化器が悪くて気持ち悪くなり、吐いた場合は、咳をしないで吐き、吐物もさらさらしているのが特徴です」
しかし、吐いたときに、その原因がよくわからない場合も子どもにはよくあるそうなので、嘔吐が続く場合は、必ず専門医を受診しよう。
(取材・文:田幸和歌子 編集:ノオト)