「授業参観は、家では見ることができないお子さんの一面を見ることができるチャンスです。学校での生活態度はもちろん、勉強の理解度や交友関係など。また、学校の先生、授業内容、環境づくりなど、ぜひいろいろな角度から観てほしいですね」(親野先生 以下同)
では、観るべきポイントとは?
●わが子の授業の様子
「授業中、お子さんが集中できているか? ちゃんと話を聞けているか? 授業内容を理解しているか?授業中の姿勢はどうか? などを見てほしいですね。あとは、クラスの雰囲気や友だちもチェックするよい機会です。先生についても、なかなか子どもからの情報だけでは把握しきれないと思うので、どんな先生なのか? を親の目を通して把握しておきましょう」
●わが子の休み時間や掃除中の様子
「授業中だけでは、子どもの真面目な姿しか見られません。なので、もっと授業以外の時間も見てほしいですね。例えば、休み時間は子どもたちが遊んでいる様子を見ることができますね。わが子はどのような過ごし方をしているのか? 休み時間は子どもたちの素の姿が見られますので、友達との関わり方、コミュニケーションとれているか? などがわかります。また、掃除の時間も、わが子の働き具合や協調性、人間関係なども垣間見ることができますのでおすすめです」
●学校、教室の掲示物、展示物
「わが子の掲示物や展示物も見てください。参観日前というのは、学校側もけっこう掲示物などの準備が大変なんですよ。図工の作品、習字など、かなり学校側も気合を入れて準備しますから、ぜひ見てあげてほしいですね」
●学校内の危険個所チェック
「学校の校内に危険箇所がないかなどもチェックしていただきたいです。例えば、2階以上の廊下や窓際にロッカーが置いてあったりすると、子どもがそこに乗って転落する危険性がありますね。廊下の角にフックがあったりするのも危ないです。そういう箇所に気づいた場合は、すぐに学校に伝えてください。もちろん、学校側も普段から気をつけてはいるはずですが、いつもそこで生活していると当たり前の光景になってしまい、見逃してしまっている場合がないとも限りません。いつもそこに居ない人だからこそ気づくということもあるので、ぜひ、大人の目でチェックしてください」
そのほかにも、授業参観を保護者同士の関わりのきっかけにしてほしいという。「ママ友を作るきかっけにもしていただけたらと思います。普段、お子さんから名前が出ててくるお友だちの親御さんと会話するなど、馴染みになっておくと、情報交換などもできますし、万が一子ども間でトラブルがあっても疑心暗鬼にならず、違った対応ができたり、解り合えたりしますからね」
そして、親野先生が一番伝えたいポイントは、実は授業参観後のことだという。
「授業参観から帰って、そこで見たこと、聞いたことを決してお子さんを叱る材料にしてほしくないのです。これが何より伝えたいポイントです。というのも、授業参観の日の夜、お子さんが叱られるパターンが多いんですよ。『授業聞かなきゃだめでしょ!』『なんなのあの習字の字は!』といった感じで。そうではなくて、褒める部分を探してください」
つい親御さんは、わが子のマイナス面ばかりが目に付いてしまいますが、叱ったところですぐ直るような簡単なことではないという。だからこそ、あえてそこは把握するにとどめて、むしろプラスな面に目を向けてほしいと親野先生は話します。
「少なくても3つは褒める部分を探して、家に帰って子どもに伝えてあげてください。そうすると、お子さんは嬉しいですよね。それが自信につながって、お子さんが変わってくることもありますので、どうかいい部分を褒めて、応援してあげてください」
最後に、授業参観の保護者のマナーで気を付けるべきことを伺った。
「保護者のおしゃべりですね。さすがに教室の中では皆さん静かなのですが、廊下でしゃべる人が多いんです。“廊下ならいいだろう”と油断されるのですが、廊下の声は教室にすごく響くので気を付けてください。それから、最近ではスマートフォンですね。着信音をマナーモードにするのは当然ですが、授業中に見ている親御さんがいらっしゃいます。前を向いている子どもからは見えませんが、先生からは見えてしまいます。あまり印象のよいものではないので気を付けましょう」
マナーをしっかり守って、ぜひ、お子さんの普段では見られない一面、いい部分をたくさん見つけてくださいね!
(構成・文/横田裕美子)