まだ肌寒い日もあって、引き続き鍋がおいしい♪寄せ鍋、水炊き、湯豆腐など、わが家の鍋料理は、だいたいミツカン「味ぽん」でいただきます。味ぽんさえつければ、お肉も魚も野菜もきのこも、だいたいおいしくなりますからね(笑)。そんな”超使える”味ぽん。ず~っと気になっていたのが、味ぽんの”ぽん”の正体です。ポン酢の”ポン”だろうけど、そもそも、ポン酢の”ポン”ってナニ?みなさんは”ぽん”の正体をご存じですか?
【”白い粉”クイズ】「薄力粉」「中力粉」「強力粉」の違いはナニ?それぞれどんな料理に向いている?
【問題】
鍋の季節には欠かせない「味ぽん」ですが、味ぽんの”ぽん”とは何でしょう?
画像出典:ミツカン公式HP
thinking time♪
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正解は、
柑橘類を意味するオランダ語の「ポンス(pons)」でした。
「味ぽん」の製造元「ミツカン」によると、味ぽんのぽんは、柑橘類を表すオランダ語の「ポンス(pons)」に由来する言葉だそう。柑橘果汁に醸造酢を加えた「ポン酢」をしょうゆで味つけした、「味付けポン酢」。それを略して、「味ぽん」と呼んでいるとのこと。
んっ!?
味ぽん=ポン酢じゃないんですね。
柑橘果汁+醸造酢=ポン酢
ポン酢+しょうゆ=味付けポン酢=味ぽん
ということみたいです。
ちなみに、「味ぽん」は、ミツカンが商標登録した商品名で、しょうゆなどを加えたポン酢の一般的な名称は、「味付けポン酢」または「ポン酢しょうゆ」と言うそうです。
あっ、そういえば、ミツカンの商品に「ぽん酢」ってありましたよね。
そうそう、これ!
画像出典:ミツカン公式HP
商品説明を見ると、「柑橘果汁に醸造酢を加えたシンプルな味わい」と書いてありました。
しょうゆが入っていないので、色は茶色ではなく、黄色ですね。
「ぽん酢」がミツカンから発売されたのは、1960年。「味ぽん」はその4年後、1964年に発売されたそうです。ちなみに、当時の商品名は、「ミツカン ぽん酢<味つけ>」だったとか。
なるほど!
これが本来のポン酢で、わたしが今までポン酢と呼んでいたのは、味付けポン酢のことだったんだ…と遅ればせながら、知りました。アハハ。
さて、味ぽんとポン酢の違いがわかったところで、話をオランダ語の「ポンス(pons)」に戻しましょう。
味ぽんの”ぽん”が「ポンス」に由来しているということは、ポン酢の”ポン”も、もちろん「ポンス」が由来になるわけです。
というか、「ポン酢(ぽんず)」と「ポンス」、ほぼ、オランダ語そのまんまだけど(笑)。
でもなぜ、オランダ語なんでしょう?
調べてみると、おもしろいことがわかりました。
なんと、「ポンス」が日本にやってきたのは江戸時代ですって!
江戸時代にオランダから日本に伝わった「ポンス」とは?
日本が”鎖国”と呼ばれる状態にあった江戸時代、長崎県の出島で唯一交易を許されていた国が、オランダでした。そのとき、オランダから日本に伝えられた文化の中に、「ポンス」があったそうです。
日本にやって来たオランダの「ポンス」は、柑橘果汁や香辛料にアルコールを加えた食前酒だったとか。けれど、日本には食前酒を飲む習慣がなかったので、いつしか「ポンス」の材料のひとつである「柑橘果汁」だけを「ポンス」と呼ぶように。さらに、酢などを加えて保存性を高めた調味料へと変化していく中で、「ポンス」の”ス”に「酢」の漢字が当てられ、「ポン酢」となったそう。
そして、このオランダから伝えられた「ポンス」、そのルーツはなんとインドなんですって。
インドの蒸留酒「アラック」に、レモン汁や砂糖、香辛料(もしくは紅茶)を混ぜた「パンチャ」という飲み物。それがヨーロッパに伝えられ、オランダでは”ポンス(pons)”、イギリスでは”パンチ(punch)”と呼ばれるようになったそうです。
ちなみに、「パンチ」に切った果物を入れたものを、フルーツパンチとかフルーツポンチと言うらしいですよ。
画像出典:アサヒグループホールディングス公式HP
ということは、鍋料理に欠かせないポン酢と、パーティーなどで見かけるフルーツポンチのルーツは、どちらもインドの「パンチャ」ということになりますね。
なんか、おもしろっ♪
”ポン”と聞いて思いつくものに、柑橘類の「ポンカン」がありますが、「ポンカン」もまた、インド(スンタラ地方)原産の果物とのこと。
ですが、ポンカンの「ポン」はインド西部の地名「Poona(プーナ)」から取ったもの。日本には中国から台湾を経て、1896年(明治29年)に伝わったそうなので、ポン酢の”ポン”とは関係ないようです。
画像出典:PhotoAC
さて、オランダから江戸時代にやって来た食前酒「ポンス」が、ポン酢の起源であることはわかりましたが…。
歴史は巡り、今、日本では、焼酎の炭酸割りにミツカンの「ぽん酢」を加えた、「ぽん酢サワー」なるお酒が人気を集めているそう。
この「ぽん酢サワー」、間違いが生んだ奇跡のサワーなんですってよ。
歴史は巡る!?SNSで話題の「ぽん酢サワー」とは?
画像出典:ミツカン公式HP
「ぽん酢サワー」は、とある東京の大衆酒場の店長が、ミツカン「味ぽん」を注文したところ、業者が間違ってミツカン「ぽん酢」を配達。返品するのも面倒なので、元バーテンダーだった店長が工夫し、サワーにしたことがきっかけで「ぽん酢サワー」が誕生したんですって。
ミツカンでは、2020年11月から「ぽん酢サワー」の魅力を多くの人に知ってもらおうと、作り方をWEBで公開したり、ぽん酢サワーを飲むことが出来る全国のお店を紹介したりと、PR活動をスタート。それがSNSで「レトロな雰囲気がかわいい」「甘くなくて、さっぱりした味わいがクセになる」と評判になり、人気がじわじわと拡大していったそうです。
ではここで、ミツカン公式HPで公開している「ぽん酢サワー」の作り方を紹介しておきますね。
【材料】1人分
ミツカン「ぽん酢」…30ml
お酒(焼酎・ジン・ウォッカなど)…45ml
炭酸水(無糖)…105ml
「ぽん酢」:お酒:炭酸水の割合は、2:3:7がおすすめとのこと。
【作り方】
1. グラスに氷(分量外)を入れ、「ぽん酢」とお酒を注ぎます。
2. 1に静かに炭酸水を注ぎ入れ、軽く混ぜれば出来上がり。
柑橘果汁と醸造酢の爽やかな味と香り、さっぱりとした飲み口が特徴の、アルコールドリンクだそうです。
画像出典:ミツカン公式HP
ということで、
今回は、「味ぽん」の”ぽん”の意味や、「味ぽん」とポン酢の違いなどについて調べました。
調味料の中でも、しょうゆやみそ、砂糖などと違って、言葉の響きにどこかハイカラな印象があるなと思っていた”ポン酢”。それが、オランダ語が元になっていると聞いて、妙に納得しました。
そして、江戸時代に日本にやって来たオランダのアルコール飲料「ポンス」が巡り巡って、令和の日本では「ぽん酢サワー」として飲まれているのも興味深かったです。
わが家の鍋料理はいつも「味ぽん」で食べますが、たまには、江戸時代に思いを馳せつつ「ぽん酢」で食べてみようかな。みなさんも、ぜひ♪
<参考文献>
WEB
『ミツカン公式サイト〜ご質問への回答:Q 味ぽんの”ぽん”は何ですか?』
https://faq.mizkan.co.jp/faq/show/2924?
『CBCラジオ公式サイト〜「味ぽん」の”ぽん”ってどんな意味?〜』
https://radichubu.jp/dradama-king/contents/id=40201
『ちそう〜ポン酢の名前「ポン」の意味・由来とは?発祥地は?原材料や作り方・レシピも紹介!〜』
https://chisou-media.jp/posts/2740
『愛媛のま果樹園〜みかん大事典:ポンカン〜』
https://www.kajuen.co.jp/introduction/item03.htm
『ミツカン公式サイト〜※ぽん酢は飲み物です。』
https://www.mizkan.co.jp/company/news/detail/211111-60.html
配信: あたらしい日日
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