入れ歯による滑舌悪化を軽減する方法
ここでは、入れ歯による滑舌悪化を軽減する方法を解説します。
発音の練習をする
入れ歯を装着した最初の頃は、発音に苦労することがあります。スムーズに話せるようになるまでには時間がかかるようです。
自身の声を客観的に確認するために、スマートフォンで録音してみるのもよい方法です。自身が苦手とする音を特定し、重点的な練習が可能になります。
また、入れ歯を装着した状態で舌をどのように動かすかを理解し、練習を重ねることで、発音が徐々に改善されていくでしょう。
日々の練習を通じて、自然に話す感覚が身につくようになります。
入れ歯を薄く削る
入れ歯が分厚いと感じる場合は、担当の歯科医師に相談してください。自己判断で入れ歯を削る行為は、強度に影響を与え、最終的に壊れてしまうリスクがあります。
適切な調整を行うことで、快適に会話ができるようになるため、医師の指示を仰ぐことが大切です
入れ歯を調整する
入れ歯を装着している際に、歯と入れ歯の隙間から息が漏れていることに気付いたら、すぐに担当の歯科医師に相談しましょう。
歯科医院で入れ歯のフィット感を確認し、必要に応じて調整を行うことで、快適さが向上し、食事や会話の際の不安も軽減されます。
定期的に入れ歯の状態をチェックすることで、よりよい使用感を維持できるでしょう。
滑舌に影響しにくい入れ歯・補綴物
滑舌に影響しにくい入れ歯・補綴物があることをご存知ですか。
以下で詳しく解説します。
金属床義歯
滑舌に影響しにくい入れ歯・補綴物の1つ目は金属床義歯です。
金属床義歯とは
金属床義歯は、上部構造を支えるための床を金属で作製した義歯の一種です。このタイプの義歯は、保険適用の義歯よりも薄く、より堅牢に設計されているため、舌の動きに影響を与えず、食事中の温度をしっかりと感じられるのが特徴です。
自由診療に分類されるため、コストが高めになる点はデメリットですが、滑舌を改善したい方にとっては効果的な選択肢となるでしょう。
金属床義歯のメリット
金属床義歯にはいくつかの大きな利点があります。以下に特徴4つを紹介します。
舌の動きを妨げにくい
発音の際、舌の動きは重要です。上顎に舌を当てる言葉が多いため、口内の空間が広いことが求められます。保険適用の入れ歯は、厚みがあるため口腔内のスペースが狭くなり、発音しにくくなることがあります。
一方、金属床義歯は薄型設計が可能とされていて、舌の動きを妨げにくく、発音がスムーズに行えます。
熱伝導性によって食事を楽しめる
保険適用の入れ歯は、レジン製で熱伝導が悪く、食事の味が感じにくいことがあります。
しかし、金属床義歯は熱伝導性が高く、食材の温度をしっかりと感じられるため、よりおいしい食事体験につながります。
汚れにくく清潔を保ちやすい
レジン床の義歯は、傷がつきやすく、細菌が繁殖しやすい特性があります。清掃を怠ると歯垢が蓄積し、除去が難しくなります。
金属床義歯は表面が滑らかで汚れが付きにくいため、手入れが簡単で、清潔に保ちやすいです。
耐久性が高く変形しにくい
標準的な保険の入れ歯は、プラスチック製で割れやすい欠点があります。
対照的に、金属床義歯は大部分が金属で構成されているため、耐久性があります。
また、熱による変形も少なく、長期間使用できます。
上記のメリットにより、金属床義歯は快適な口腔環境を提供し、生活の質を向上させる選択肢となり得ます。
金属床義歯の注意点
金属床義歯の注意点には、以下の2点で注意する必要があります。
保険適用外の自費診療
金属床義歯は自費診療となるため、治療費用は保険適用のレジン床義歯よりも高額になります。
具体的な金額は歯科医院によって異なるため、作製を依頼する前にかかりつけの歯科医院で詳細を確認することが重要です。
修理の難易度
入れ歯が合わなくなった場合、レジン床義歯は診療台に備えた器具を用いて調整が可能とされていますが、金属床義歯では状況が異なります。金属製のため、金属部分を追加できず、レジンを盛り足すなどの方法で対処する必要があります。
しかし、この修理方法では金属床の本来の薄さが損なわれる可能性があり、場合によっては新たに作り直すことになってしまうこともあるため、注意が必要です。
コーヌス義歯
滑舌に影響しにくい入れ歯・補綴物の2つ目はコーヌス義歯です。
コーヌス義歯とは
コーヌス義歯は、ドイツで開発された精密な部分入れ歯の一つで、茶筒のふたが簡単に外れない構造を応用しています。
部分入れ歯は、金属のバネを使って残った歯に固定しますが、コーヌス義歯は異なります。残存歯に金属製の冠をかぶせ(茶筒の本体に相当)、その上に入れ歯を重ねて装着することで、しっかりとした安定感が得られます。
外れにくく安定して噛めるうえに、口腔内で接触面が少ないため、発音への影響も少ないのが特徴です。
コーヌス義歯のメリット
コーヌス義歯のメリットは、噛む力が強く見た目が自然である点が挙げられます。クラスプ(バネ)を使用しないため、義歯が目立ちにくく、美しさを保ちます。
また、義歯自体が小さく設計できるため、装着時の違和感も少なく、食事の際にも自身の歯に近い感覚を得られます。
仮に将来、土台となる歯がダメになっても、修理で対応できる場合が多いようで、新たな義歯を作る必要はありません。
さらに、技工士が常駐している場合、その場で修理ができます。
コーヌス義歯は歯磨きがしやすく、歯周病になりにくい構造であるため、土台となる歯も長持ちする傾向にあります。
また、噛む際の力が均等に分散されることで、歯や歯茎、顎の骨への負担が少なく、これらの組織が痩せにくくなるため、痛みや不快感を感じにくいのが特徴です。
義歯が安定しているため、長期間にわたって快適に使用できるとされています。
コーヌス義歯の注意点
コーヌス義歯を使用する際には、土台となる歯が健康であっても削る必要がある点に注意が必要です。
また、この治療は健康保険の対象外となるため、費用負担を考慮することも重要です。
配信: Medical DOC