新たな性感染症「マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症」とは? 症状とリスクを医師が解説

新たな性感染症「マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症」とは? 症状とリスクを医師が解説

マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症は、近年注目されるようになった新しい性感染症で、マイコプラズマおよびウレアプラズマという菌によって引き起こされます。これらの感染症は、初期段階では無症状のことも多いようです。「シュシュレディースクリニック 戸田公園」の前出先生にその原因や症状について伺いました。

編集部

マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症という名前も聞きます。

前出先生

新しい感染症の一つである「マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症」は、近年になって性感染症として認知されるようになった新しい性感染症です。これは正式な病名ではなく、マイコプラズマおよびウレアプラズマという菌による感染症の総称です。マイコプラズマという菌にはいくつか種類があるのですが、そのうち「マイコプラズマジェニタリウム」と「マイコプラズマホミニス」の2つが感染症の原因となります。なかでも「マイコプラズマジェニタリウム感染症」は、2016年に刷新された日本性感染症学会による「性感染症診断・治療ガイドライン」で、初めて「マイコプラズマ・ジェニタリウム」として項目が追加されました。

編集部

ウレアプラズマ感染症についてはどうですか?

前出先生

ウレアプラズマにもいくつか種類がありますが、そのうち「ウレアプラズマパルバム」と「ウレアプラズマウレアリチカム」の2種類が、性器や咽頭に感染し感染症を引き起こします。

編集部

どんな症状が出るのですか?

前出先生

症状は菌の種類によって異なりますが、男性の場合、初期は排尿時の軽度の違和感などから始まり、重度になると膿が出ることもあります。女性は、排尿時の違和感に加え、おりものの異常や不正出血などがありますが、男女ともに無症状のこともあります。

編集部

感染しても、無症状の場合もあるのですね。

前出先生

はい。これは、ほかの性感染症でも同様です。ほとんどの感染症は、原因となる菌やウイルスに感染しても、症状を発症するまでにはタイムラグがあります。この「潜伏期間」に症状はなく、本人が感染に気が付くことはほとんどありません。さらに、潜伏期間を過ぎても無症状ということもあります。

編集部

マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症の治療はどのように行われるのですか?

前出先生

抗生剤を内服する薬物療法が基本となります。「薬剤耐性」という抗生剤の効きづらい菌が発生してくるため、効果のある抗生剤がいまだに特定されていないのが現状です。ですから抗生剤を飲んでもなかなか治らない人も少なくありません。治療はマイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症について熟知している医師に診てもらうようにしてください。

監修医師:
前出 喜信(シュシュレディースクリニック 戸田公園)

日本産科婦人科学会認定専門医、日本性感染症学会認定医、日本周産期・新生児医学会周産期専門医。1997年、島根医科大学医学部(現・島根大学医学部)卒業後、島根大学医学部附属病院 産科婦人科 助教や鹿児島市立病院 総合周産期母子医療センター科長、熊本福田病院地域周産期医療センター 新生児科部長などを経て現職(シュシュレディースクリニック 戸田公園 院長)。「怖くない、痛くない、面倒くさくない」をモットーに、相談して良かったと安心していただけるような診療を日々心がけている。

※この記事はメディカルドックにて<【性病】マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症は治りにくい? 放置リスクとピンポン感染について>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

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