「癌性腹膜炎と腹膜播種の違い」はご存知ですか?初期症状も医師が徹底解説!

「癌性腹膜炎と腹膜播種の違い」はご存知ですか?初期症状も医師が徹底解説!

癌性腹膜炎・腹膜播種になりやすい人の特徴

体調不良を放置している人

前述の通り、腹膜播種・癌性腹膜炎は消化器がんや婦人科がんが最後まで進行した状態と言えます。初期の体調不良で検査をすれば見つかるはずだったがんが放置されて、放置されて病状が進行してしまったケースもあります。まずは体調不良を放置せずに、早めの精密検査を受けましょう。

すでにがんに罹患している方

がんに対して適切な治療を受けられた方が、再発して腹膜播種や癌性腹膜炎を起こす可能性があります。手術など適切な治療を受けた方も再発がないか経過観察が必要です。前述の通り、腹膜播種は自覚症状がなく、画像検査で初めて発見されるケースもあるため、注意が必要です。

癌性腹膜炎・腹膜播種の検査法

癌性腹膜炎・腹膜播種の検査法としては、画像検査(CT、MRI、PET検査など)、腹水検査、腫瘍マーカー検査などがあります。

画像検査

CT、MRI、PET検査などの画像検査を行い、腹膜播種や癌性腹膜炎、がんの再発、遠隔転移がないかどうか調べます。放射線科の外来で検査を行うため、入院は不要です。

腹水検査

腹水が溜まっている場合に、お腹に針を刺し腹水を吸引して採取します。そして腹水の病理検査を行い、がん細胞の有無などを調べます。画像検査ではわからない細胞レベルの腹膜播種がないかどうか判定や癌性腹膜炎の確定診断に用います。通常、入院で行うことが多い検査です。

腫瘍マーカー

血液中の腫瘍マーカーの値を測定し、がんの活動性や再発の可能性、治療の効果判定の一部などに用いられます。外来の検査科で血液検査を行います。

癌性腹膜炎・腹膜播種の治療法

化学療法

化学療法は、抗がん剤と呼ばれる薬を使用して、がん細胞の増殖を抑える治療法です。
癌性腹膜炎や腹膜播種に対してはがん細胞の増殖を抑制し、症状を緩和する、延命効果を期待するなどの効果が期待できます。点滴による化学療法が最も一般的な化学療法で、抗がん剤を点滴で投与します。一部、腹腔内化学療法:抗がん剤を腹腔内に直接注入する方法もあります。化学療法の導入は入院で行い、その後外来加療に移行することがあります。

免疫チェックポイント阻害薬

免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞が免疫細胞からの攻撃を逃れるために利用する仕組みをブロックし、免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようにする薬です。腹膜播種における免疫チェックポイント阻害薬の役割は免疫細胞の活性化や腫瘍の縮小効果、延命効果などです。免疫チェックポイントが効果的かどうか調べて、効果が期待できる場合は加療が始まります。通常は外来加療を行います。

放射線療法

腹膜播種に対して放射線療法を行う場合、化学療法の補助的な役割や症状緩和を目的とした治療です。副作用として、皮膚炎や消化器症状などが起こることがあります。通常、外来通院で加療することが多い治療です。

緩和ケア

緩和ケアは、がんによる痛みやその他の症状を和らげ、患者さんの生活の質(QOL)を向上させることを目的とした治療法です。癌性腹膜炎・腹膜播種における緩和ケアの役割は痛み、吐き気、呼吸困難などの症状の緩和、精神的なサポート、患者さんや家族の不安や悩みの軽減などがあります。緩和ケアは、薬物療法、放射線療法、精神療法、栄養療法など、様々な方法の組み合わせで行います。患者さんの状態に応じて、入院・外来を選択します。

「癌性腹膜炎と腹膜播種の違い」についてよくある質問

ここまで癌性腹膜炎と腹膜播種の違いなどを紹介しました。ここでは「癌性腹膜炎と腹膜播種の違い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

腹膜播種は何年生きられるのでしょうか?

齋藤 雄佑 医師

腹膜播種の予後(寿命)は、がんの種類や進行度合い、治療法や本人の体調や年齢などによって大きく異なります。がんのステージとしてはステージⅣですので、一般的には予後は良くないことが多いです。ただし、近年では化学療法などの治療法の進歩により、生存期間が延長するケースも増えています。

編集部まとめ 腹部の張りなど腹膜播種を疑ったら、消化器内科へ

癌性腹膜炎と腹膜播種は、進行したがんによって引き起こされる深刻な状態です。早期発見・早期治療が重要ですので、気になる症状がある場合は、迷わず医療機関を受診してください。この記事が、癌性腹膜炎と腹膜播種について理解を深める一助となれば幸いです。

「癌性腹膜炎と腹膜播種」と関連する病気

「癌性腹膜炎と腹膜播種」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器科の病気

胃がん

大腸がん膵臓がん
婦人科の病気卵巣がん

上記のがんは腹膜播種が起こりやすいがんです。しかし、そのほかのがんでも腹膜播種は起こることがあります。早期発見早期治療が重要な疾患が多いので、健康診断やがん検診などを活用しましょう。

「癌性腹膜炎と腹膜播種」と関連する症状

「癌性腹膜炎と腹膜播種」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状腹痛吐き気

腹部の張り

食欲不振

腸閉塞

呼吸困難

上記以外にも、様々な病気や症状が癌性腹膜炎・腹膜播種と関連している可能性があります。気になる症状がある場合は、医療機関を受診して適切な診断を受けるようにしましょう。

参考文献

腹膜播種診療ガイドライン2021年版(日本腹膜播種研究会)

癌性腹水(日本緩和医療学会)

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