春、子ども乗せ自転車デビューが増えるころ、あなたの乗り方大丈夫!?抱っこはNG、おんぶも注意が必要、事故事例に学ぼう【小児科医】

春、子ども乗せ自転車デビューが増えるころ、あなたの乗り方大丈夫!?抱っこはNG、おんぶも注意が必要、事故事例に学ぼう【小児科医】

赤ちゃんをおんぶして自転車に乗り、車と接触。転倒して赤ちゃんが頭を強く打って亡くなってしまった事故も

自転車のおんぶ運転については、自転車の前後に子どもを1人ずつ乗せて、赤ちゃんをおんぶして走行することは交通違反になります。しかし赤ちゃんをおんぶひもなどでしっかりおんぶして、前か後ろに子どもを1人だけ乗せて走行することは、交通違反ではありません。
でもおんぶ運転は危険を伴うので十分注意が必要です。

――赤ちゃんをおんぶして自転車に乗るリスクを教えてください。

山中 2016年5月、東京で生後7カ月の男の子をおんぶして自転車に乗っていたママが、左から来た車と接触して転倒。赤ちゃんが頭を強く打って亡くなってしまう事故が起きています。報道によると、自転車が信号待ちをしていた車の間をすり抜けたそうです。

先ほど、赤ちゃんを抱っこして自転車に乗って転倒した際の調査結果について話しましたが、おんぶについても調査しています。赤ちゃんをおんぶした状態で自転車に乗って自転車ごと倒れたときに、赤ちゃんが頭にどれだけのけがを負うかを調べたところ、骨折するとされる衝撃の基準値の最大約17倍という結果でした(※2)。超危険レベルです。

※2 日本小児科学会雑誌123巻5号「保護者の自転車に子守帯を用いて同乗した乳児の外傷」より。

――それでは生後12カ月以上になり、自転車用のチャイルドシートに座っていれば安全なのでしょうか。

山中 いくら自転車用のチャイルドシートに座っていても、事故で亡くなる子はいます。2022年4月には、大阪で電動アシスト自転車の前に3歳の男の子を。後ろには5歳の男の子を乗せてママが運転していたところ転倒。転んだ拍子に3歳の男の子が道路に投げ出されて、後ろから来たトラックにはねられて亡くなってしまう事故が起きています。

子どもと自転車で移動するママ・パパには、こうした痛ましい事故が現実に起きていることをまずは知ってほしいです。そして交通量の多い道は避けるなど事故のリスクをなるべく減らす対策をとってほしいと思います。

電動アシスト自転車はバランスを崩すと支えづらい

子ども乗せ自転車は走行時だけでなく、子どもを乗せたり、降ろすときにも十分注意が必要です。

――ほかには自転車に子どもを乗せるとき、どのようなことを注意するといいでしょうか。

山中 とくに電動アシスト自転車は、自転車自体が重いのでバランスを崩すと立て直せず、思わぬけがにつながることもあります。走行時だけでなく、止めているときも注意が必要です。

たとえば自転車に子どもを2人乗せるときは、転倒しないように、後ろ→前の順に。降ろすときは前→後ろの順を守りましょう。子どもを乗せたまま荷物を積み下ろすのもやめましょう。
自転車を止めるときは、必ずハンドルのロックをかけてください。
子どもを自転車に乗せたまま、保護者が自転車から離れるのも危険なので絶対にやらないでください。目を離した瞬間、子どもが自転車から転落する事故も起きています。

自転車は必需品という保護者も多いので、とにかくスピードの出し過ぎなど無理な運転はやめて、安全運転を心がけてください。

お話・監修/山中龍宏先生 写真提供/東京工業大学 宮崎祐介先生 取材・文/麻生珠恵、たまひよONLINE編集部

2024年11月1日から、自転車に関する法律が変わり、スマホを使用しながら自転車を運転したりする「ながら運転」や、自転車での酒気帯び運転が罰則の対象となりました。
また自転車でも信号無視、一時不停止、右側走行、傘さし運転などの交通違反に対して反則金を納付する、いわゆる「青切符」の導入も予定されています。大切な子どもを乗せているからこそ安全運転を心がけましょう。

●記事の内容は2025年3月の情報であり、現在と異なる場合があります。

監修者
【小児科医】山中龍宏 先生
PROFILE:緑園こどもクリニック 院長
1974年東京大学医学部医学科卒。 東京大学医学部小児科講師、焼津市立総合病院小児科科長、こどもの城小児保健部長などを経て、 1999年4月より「緑園こどもクリニック」院長。1985年9月、プールの排水口に吸い込まれた中学2年女児を看取ったことから事故予防に取り組み始め、現在、こども家庭庁 教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議委員。2014年より特定非営利活動法人 Safe Kids Japanを設立。理事長を務める。

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