実母の死産の体験から「出産時に赤ちゃんが死んでしまうことがある」という思いにとらわれて、どんどん気持ちが落ち込んで・・・【周産期のうつ・体験談】

実母の死産の体験から「出産時に赤ちゃんが死んでしまうことがある」という思いにとらわれて、どんどん気持ちが落ち込んで・・・【周産期のうつ・体験談】

医師の診察を受けたことで、気持ちが落ち着くのを感じた

今まで経験したことのない落ち込みが続く茉帆さん。これは自分で解決できることではないと判断し、母子健康手帳と一緒にもらった、自治体からの案内を確認しました。

「案内には、妊娠中に困ったことがあったときの相談先が書いてあったので、地域の保健師さんに連絡し、今の自分の気持ちを話しました。

実は3人目の妊娠前に、信州大学医学部附属病院の村上寛先生主催の勉強会に参加したことがありました。保健師さんにそのことを話すと、『連絡先がわかるなら、受診したいと連絡してみてください』と言われたので、早速『周産期のこころの外来』を予約。2023年11月に、初めて村上先生の診察を受けました。

自分が置かれた環境や、今、抱いている不安、体と心の状況などについて話しました。
村上先生から告げられたのは、安曇野に転居して母と同居したことによって楽になった部分もあるけれど、少し負担となっている部分もあるのではないか、ということでした。村上先生に指摘されるまでは考えてもいなかった視点でした。

私の母はワンオペ育児でしつけに厳しく、私は子どものころ、よくしかられていました。娘2人の出産後、手伝いに来てくれたときも、ありがたいと思う反面、育児について何か言われるんじゃないか・・・というプレッシャーも感じていました。村上先生の指摘で、自分の心の中のことが少しわかった気がしました。

それからは月1回通院することに。定期的に村上先生に話を聞いてもらうことで、気持ちがとても落ち着きました」(茉帆さん)

「茉帆のメンタルが不調なのは、私から見てもわかったので、できるだけ上2人の面倒は私が見るようにしていました。茉帆が『周産期のこころの外来』を受診するときは、初診時からずっとつき添い、一緒に話を聞きました」(大樹さん)

今はセルフケアの時期と考え、あせらずのんびり、家族との時間を大切に

安曇野市には自宅出産が選択できる助産院があったので、茉帆さん夫婦は、3人目は自宅出産を希望。妊婦健診は助産院で受け、陣痛が始まったら、助産師さんが自宅に来てくれることになっていました。

「村上先生の診察を受けたことで、出産時には落ち込みや不安は改善されていました。
2024年2月、夫、娘2人、私の両親、祖母に見守られる中、3人目の子どもである長男は、自宅の寝室で誕生しました。家族全員にとっていい経験になったと感じています」(茉帆さん)

産後も半年くらいは、村上先生の外来を定期的に受診しました。

「出産前にメンタルへルスのケアを行ったので、産後うつにはならなかったのですが、2人目出産後のような元気さは出ていなくて、社会活動はお休み中です。

今はセルフケアの時期だと考えています。自分を大切にすることは家族を大切にすることにつながると思うし、心が元気になったら、また活動したいという思いが出てくるかもしれません。しばらくは家族との時間を優先し、ゆっくり過ごそうと考えています」(茉帆さん)

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