ラーメンから「生ゴミのような異臭」、食べたら激しい下痢に…店側の責任はないの?

ラーメンから「生ゴミのような異臭」、食べたら激しい下痢に…店側の責任はないの?

ある飲食店でラーメンを食べたら、体調を崩したという人から弁護士ドットコムに相談が寄せられています。

相談者によると、そのラーメンはスープと麺の上に大量の野菜炒めが乗っているのがウリだそうです。しかし、相談者がキャベツなどの野菜を食べようとしたところ、生ゴミのような臭いがしたといいます。

相談者は、異臭を感じながらも他のお客さんもいた手前、そのまま食べたそうです。ところが、帰宅後に激しい下痢に見舞われたといいます。

「店が早く作ろうとして、手を抜いたのではないかと思っています」と相談者は打ち明けます。

相談者自身は食べてしまいましたが、もしも食事中に店側に異臭のあることを伝えた場合、作り直しや返金を求めることはできるのか、知りたいとのことです。

食事中に異常を感じた場合、作り直しや返金を求めることはできるのでしょうか。また、飲食店の衛生管理にはどのような義務が課されているのでしょうか。飲食店の問題に詳しい石崎冬貴弁護士に聞きました。

●食後、体調不良になったらどうすればいい?

——飲食店で提供された料理に異臭を感じた場合、客側がその場で作り直しを求めたり返金を請求することは可能でしょうか。

「異臭」というのが、腐敗などにより喫食に適さない状態という意味であれば、もちろん作り直しや返金を求めることができます。

もちろん、単に臭いが強い食べ物という可能性もないわけではありませんし、まずは、異臭を感じた段階で、お店の従業員に伝え、食べても問題がないか確認した方がよいでしょう。

——相談者が、その後の体調不良が飲食店で提供された料理が原因であると特定したい場合、どのような手続きが必要でしょうか。

食中毒の可能性がある患者を診断した医師は、最寄りの保健所長に届け出なければならないという義務があります(食品衛生法第63条第1項)。

届け出を受けた保健所は、食中毒が発生していると判断した場合、速やかに調査を行うこととされていますので、医師による診断と保健所による調査によって、原因が特定される場合があります。

したがって、(体調の面でも)まずは医師の診察を受けるということが最優先になります。

●もしも料理が原因だった場合、店側に刑事罰の可能性も

——もしも、相談者の体調不良が飲食店で提供した料理であると特定された場合、店側に治療費や損害賠償を求めることは可能でしょうか。

仮に飲食店で喫食した料理により体調不良が起き、様々な損害が生じた場合、お店側は民法上の不法行為責任または債務不履行責任を負いますので、その損害の賠償を請求することができます。

一般的には、治療に関する費用(診察台、薬代、交通費など)、休業したことによる損害、通院による慰謝料、後遺障害が残れば逸失利益などを請求することができます。

——店側には衛生管理などについてどのような法的責任があり、それを怠った場合にはどのような処分を受けることになりますか。

飲食店は、腐敗したものやウイルスに汚染されたもの、健康を損なう恐れがあるものを提供してはならないという義務があります。

実際に食中毒が発生した場合には、民法上の責任のほか、刑事上の責任(刑事罰)や、行政上の責任(飲食店営業許可の停止や禁止)などを負うことになります。 食中毒を発生させないために、飲食店としては衛生管理に万全を期す必要があるのです。

【取材協力弁護士】
石崎 冬貴(いしざき・ふゆき)弁護士
東京弁護士会所属。一般社団法人フードビジネスロイヤーズ協会代表理事。自身でも飲食店を経営しながら、飲食業界の法律問題を専門的に取り扱い、食品業界や飲食店を中心に顧問業務を行っている。著書に「なぜ、一年で飲食店はつぶれるのか」「飲食店の危機管理【対策マニュアル】BOOK」(いずれも旭屋出版)「飲食店経営のトラブル相談Q&A―基礎知識から具体的解決策まで」(民事法研究会)などがある。
事務所名:法律事務所フードロイヤーズ
事務所URL:https://food-lawyer.net/

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「専門家を、もっと身近に」を掲げる弁護士ドットコムのニュースメディア。時事的な問題の報道のほか、男女トラブル、離婚、仕事、暮らしのトラブルについてわかりやすい弁護士による解説を掲載しています。
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