有機酸代謝異常症の治療
有機酸代謝異常症に対する根本的な治療法は現在のところなく、急性の症状に対しては対症療法がおこなわれています。
また日常的に、急性症状の予防や軽減を目的として、低タンパク質・高エネルギー食を中心とする食事療法がおこなわれます。
タンパク質やエネルギーの摂取量は患者の成長過程を考慮して決定されます。
食事療法では、特殊ミルクを使用してタンパク質摂取を抑えつつ必要な栄養素を補うこともあります。
急性症状による嘔吐などで経口摂取が困難な場合は、ブドウ糖の点滴が実施されます。
重症例では、鼻や胃からチューブを通して経管栄養をおこなうこともあります。
薬物療法も重要で、有機酸の産生を抑制したり排泄を促進したりする薬剤が投与されます。発症初期や症状が重篤な場合は、入院による集中治療が必要となるケースもあります。
生活の質が著しく低下している場合や神経症状が悪化している場合には、肝移植も検討されます。
しかし、手術自体の負担や移植後の拒絶反応、免疫抑制剤の副作用などのリスクも考慮される必要があります。
有機酸代謝異常症になりやすい人・予防の方法
有機酸代謝異常症は、両親が変異遺伝子を保有している場合に子どもが発症する可能性があります。
有機酸代謝異常症に対する直接的な予防法は現在のところ存在しません。
胎児期の遺伝子カウンセリングや新生児期の新生児マス・スクリーニングを通じて早期発見につながる可能性があります。
早期発見は適切な治療の準備を可能にし、重篤化を防ぐための重要な対策となります。
また、発症後は定期的な検査と適切な食事療法を継続することが大切です。
関連する病気
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メバロン酸キナーゼ欠損症
エチルマロン酸脳症
参考文献
国立研究開発法人国立成育医療研究センター有機酸代謝異常症
国立研究開発法人国立成育医療研究センター「有機酸代謝異常症」について
一般社団法人日本マススクリーニング学会B.有機酸代謝異常症
先小児慢性特定疾病情報センター|天性代謝異常の疾患一覧
先天性代謝異常症 | NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター
配信: Medical DOC
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